29日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比82ドル32セント(0.3%)高の3万1029ドル31セントで終えた。
株価は手掛かり材料に乏しい中で方向感なく推移。主要株価指数は前日終値を挟んで上下する展開となった。ただ、消費関連株やヘルスケア株の上昇に支えられ、ダウ平均は終盤はプラス圏を維持した。米長期金利の低下を好感し、アップルなど大手ハイテク株も買われた。このところの大幅安の反動で、安値拾いの買いも入った。
S&P500種株価指数は3月末から28日までに16%下落した。四半期末に向け、保有資産に占める株式の比率低下を調整する目的で機関投資家が買いを入れているとの見方があった。ダウ平均は一時200ドルあまり上げた。
ただ、相場の上値は重かった。FRBのパウエル議長が29日、欧州中央銀行(ECB)主催のシンポジウムで「FRBが経済のソフトランディング(軟着陸)を達成できる保証はない」と述べ、景気懸念が頭をもたげた。パウエル氏は「米労働市場は非常に強く、金融引き締めに耐えられる」「最大の間違いは物価安定の回復に失敗することだ」とも強調し、積極的な利上げを続ける姿勢を示した。
ECBのラガルド総裁も「インフレ期待が大幅に高まっている」と危機感を示した。主要国の中央銀行による金融引き締めが世界景気を冷やすとの警戒感が投資家心理の重荷になった。
アナリストが投資判断を引き上げた外食のマクドナルドや金融のゴールドマン・サックスが高い。ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルも上げた。米長期金利が前日の3.17%から一時3.08%に低下し、高PER(株価収益率)のハイテク株の一角が買われた。
一方、原油安や景気懸念を受けて建機のキャタピラーや石油のシェブロン、化学のダウなど資源関連株が下げた。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスも安い。
ナスダック総合株価指数は小幅に3日続落し、前日比3.647ポイント(0.03%)安の1万1177.893で終えた。アナリストが販売台数予想を引き下げた電気自動車のテスラが安い。アナリストが目標株価を引き下げた半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)と同業のエヌビディアも売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
31,029.31+82.32
S&P500種
3,818.83-2.72
ナスダック
11,177.893-3.647
FTウィルシャー5000
38,697.71-76.97
NY金(ドル/トロイオンス)
1,817.50-3.70
NY原油(ドル/バレル)
109.70-0.08
円・ドル
136.57 – 136.58+0.55
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は小幅に下げた。9月物は前日比40円安の2万6705円で引け、29日の大取終値を25円上回った。
1-3月期国内総生産(GDP)や個人消費確定値が予想外に下方修正されたため、景気減速を警戒した売りに寄り付き後、下落。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が参加した欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで経済の強さを強調したため警戒感が後退し、上昇に転じた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26705 ( +25 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
26760 ( +80 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7312.32(-11.09)
29日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ11.09ポイント(0.15%)安の7312.32で引けた。金融引き締め継続による英経済成長の鈍化懸念が相場の重荷だった。飲食料品・たばこや消費者サービスなど消費関連株が売られた。
FTSEでは、指数構成銘柄の約7割が下落。不動産大手ブリティッシュ・ランド(8.7%安)や商業用不動産大手ランド・セキュリティーズ(6.5%安)など不動産関連株が売り込まれた。原油高を受け、石油大手シェル(0.4%高)や同BP(0.2%高)は堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13003.35(-228.47)
29日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ228.47ポイント(1.73%)安の1万3003.35で終えた。29日のアジア株安が投資家心理を冷やした。世界的な景気減速の懸念から自動車株や化学株など幅広いセクターに売りが出た。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6031.48(-54.54)
フランスCAC40種指数は0.90%安だった。
前日からの米国やアジアの株価下落を受け、リスク回避ムードが広がり、売りが優勢となった。
