6月30日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比253ドル88セント(0.8%)安の3万0775ドル43セントで終えた。
今年上半期は、ダウ平均が約15%、ナスダック指数は約30%それぞれ下落した。ロイター通信によると、ダウは1962年以来60年ぶり、ナスダックは過去最大の下落率となった。ダウ平均は年初に最高値を記録したが、新型コロナウイルスのオミクロン株感染拡大によって下落に転じ、その後はインフレや利上げへの懸念が強まり、さらに値を下げた。
米商務省が30日発表した5月の個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%増にとどまり、前月から伸び率が大きく縮小。市場予想も下回った。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するエネルギーと食料品を除くコアPCE物価指数は前年同月比4.7%上昇と高水準を維持した。
インフレ率が高止まりする中で、米経済を支える個人消費の鈍化が鮮明となり、市場では「今年の成長率見通しを押し下げ、年内の景気後退リスクを高める」との見方が広がった。
パウエルFRB議長は前日出席したイベントで、「大きな過ちは物価安定を回復できないことだ」と述べ、インフレ抑制を最優先し、金融引き締めを進める姿勢を改めて強調した。
市場では、景気敏感株やハイテク株が売られた。
建機のキャタピラーや航空機のボーイング、金融のゴールドマン・サックスなど景気敏感株の下落が目立った。ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルも安い。朝方に発表した2022年3~5月期決算が大幅減益だったドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは7%安と急落した。
上半期のダウ平均は15.3%安と大幅に下落した。上半期の下落率としては1962年以来、60年ぶりの大きさとなった。高インフレの抑制を最優先するFRBが積極的な金融引き締めに動いた。ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス対策の中国の都市封鎖など悪材料が重なり、投資家がリスク資産の持ち高を落とす動きが加速した。
ナスダック総合株価指数は4日続落した。前日比149.157ポイント(1.3%)安の1万1028.736で終えた。半導体のエヌビディアや電気自動車のテスラなど主力株が軒並み下げた。上半期は29.5%安となり、上半期の下落率としては過去最大となった。
S&P500種株価指数は上半期に20.6%安となった。下落率は上半期として1970年以来の大きさだった。
NYダウ工業株30種(ドル)
30,775.43-253.88
S&P500種
3,785.38-33.45
ナスダック
11,028.736-149.157
FTウィルシャー5000
38,338.58-359.12
NY金(ドル/トロイオンス)
1,807.30-10.20
NY原油(ドル/バレル)
105.84+0.08
円・ドル
135.73 – 135.75-0.46
【シカゴ日本株先物概況】
6月30日のシカゴ日経平均先物は下げた。9月物は前日比315円安の2万6390円で引け、30日の大取終値を10円上回った。
消費や製造業の鈍化を示す経済指標を受けた売りに寄り付き後、下落した。同時に、コアPCE価格指数が予想を下回りインフレのピーク達成感が強まったため、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅な利上げ観測が弱まり金利低下を受けて、主要株式指数は引けにかけて下げ幅を縮小した。日経平均先物は米株安が嫌気された。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26390 ( +80 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
26440 ( +130 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7169.28(-143.04)
6月30日のFTSE100種総合株価指数は大幅に続落した。前日に比べ143.04ポイント(1.96%)安の7169.28で引けた。高インフレの長期化で、欧米の中央銀行が金融引き締めの継続を迫られるとの見方が強まった。世界経済の成長鈍化による需要減への懸念から、資源株やエネルギー株が売られた。FTSEの個別銘柄を見ると、英鉱業大手アングロ・アメリカンが5.3%の急落。英金融大手HSBCホールディングスは3.0%安とさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12783.77(-219.58)
6月30日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に続落した。前日に比べ219.58ポイント(1.69%)安の1万2783.77と、約1年8カ月ぶりの安値で終えた。高インフレと欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めが景気を冷え込ませるとの懸念から、自動車株や化学株など幅広いセクターに売りが出た。天然ガスの先物価格が上昇しており、エネルギー価格高騰が企業業績の重荷になるとの警戒感も株式の売りにつながった。
DAXでは独自動車大手フォルクスワーゲンが5.2%安と軟調だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5922.86(-108.62)
フランスCAC40種指数は1.80%安となった。世界的なインフレが進む中、主要中央銀行による利上げの加速などが景気を悪化させるとの懸念が広がった。
CACでは仏鉄道車両大手アルストムが8%超の大幅安だった。
