「金利」
ある小さな平和な島国がありました。
その国と海を隔てたところにある大きな島の人たちは、ある時考えました。
「あの島にはお金がたくさんある。
昔は戦争でやっつけたけどまた力を付けてきた。
それにあの島の連中は勤勉で真面目だからあまりお金を使う習慣がない。
だったら溜め込んだお金を合法的にイタダくという方法を考えよう」。
皆が考えていると、大きな島の壁に囲まれた街の長が言いました。
「通貨っていうのを手段にしよう。
あの連中は勤勉だから、経済指標や政治スケジュールなんかを勉強するのが好きな筈だ。
株と違って、なんとなく高尚なイメージがあるから彼らに受け入れられやすい気がする。
それに先物にしてレバレッジを掛けてあげれば、意外と博打好きな彼らにはもってこいだろう」。
「そうだそうだ」と回りの連中は囃し立てました。
そのためには小さな島国の唯一の投資先あるいは投棄手段である株式市場への人気を高めました。
小さな島国の人たちは株価の上昇に熱狂し、バブルという言葉を謳歌しました。
株だけではもの足らずに不動産までが値上がり。
バブルの絶頂で大きな島の人たちは小さな島の人に囁きました。
「先物を使えばもっと何杯も儲けられるよ」。
うまく乗せられた格好で小さな島には株価指数の先物が登場しました。
「そうか、これがグローバルスタンダードなんだ」。
間違っているかどうかも確かめずに、これで小さな島も世界の流れに乗ったような気がしてきたようです。
そのタイミングで起こったことは株と不動産の大暴落。
小さな国の人たちは困り果てました。
そこで手を差し出したような格好で大きな島の人は囁きました。
「だったら今度は通貨先物でお金を運用したらどう?」
大きな島の人たちは自分たちのお金が世界で通用するのですから通貨なんて投資する必要はありません。
でも、小さな島の人達のお金は世界では通用しないのです。
小さな島の人たちはほとんど考えることもなく、「そうかもしれない」と思い込みました。
大きな島の人は「ビッグンバン」なんて物理の用語を使って「金融ビッグバン」なんて言葉を作って小さな島国に人たちに勧めました。
「そうかこれもグローバルスタンダードなんだ」。
小さな国の人たちは昔から「万国公法」なんていう言葉を使って世界をマネすることで成長して来ました。
だから「グローバルスタンダード」というのは魅力的な言葉だったのです。
そこから始まったのは「通貨先物」の世界にも例を見ない隆盛。
世界中でココまで為替に注意する国民はいないだろうというような風潮が20年以上も続いています。
不思議なことに小さな島の国の投資家さんは自分の国の通貨が強くなると心配します。
本当は自分の国の通貨が弱くなるともっと困るのですが、そうすると大きな島の人たちが困ります。
だから大きな島の人は「自分の国の通貨が強いと、君たちは困るだろう」と言って何年も洗脳してきたのです。
だから自分の国の通貨が売られて喜ぶという奇怪な光景が小さな島の国では続いています。
かといって大きな島の人たちは小さな島の国を潰すわけではなく、成長させたり低迷させたりしています。
いずれ潰してしまうのか、あるいは生かさず殺さずの状況で程よく搾取していくのかは、まだわかりません。
おしまい。
金利というものが市場でネタになっている。
その金利。
カトリックでは禁じられていたという歴史があるというから面白い。
しかし貨幣経済が広く浸透した13世紀頃から実態としては利子取得は一般的に行われるようになったという。
16世紀には宗教改革の指導者の一人であるジャン・カルヴァンが5%の利子取得を認めた。
イギリスでは1545年にヘンリー8世が10%以内の利子取得を認める法令を発布した。
余談だが・・・。
複利計算のマジックがある。
ヨゼフが息子キリストの誕生のときに、5%の利子で1プフェニヒを銀行に預けたと仮定。
ヨゼフが1990年に現れたとすると・・・。
地球と同じ重さの黄金の玉を銀行から13億個も引き出すことができることになるという。
時間と金利のマジックだ。
日本ではどうだろう。
日本で初めて出来た貨幣「和同開珎」。
西暦708年からあったというから金利もあったのだろう。
鎌倉時代などを経て江戸幕府の最初の頃は年率20%が上限金利だった。
元文元年(1736年)には15%に引き下げられた。
天保13年(1842)の法令では法定利率が年率12%に引き下げられた。
現在も適用されている利息制限法は1877年施行。
その頃の金利は最高日歩50銭、年率で換算すると182.5%。
1954年に利息制限法の改正と出資法が施行された。
これ以降も何度か上限金利の引き下げが行われ現在の上限金利20%に落ち着いたというのが歴史。
因みに出資法の金利改正のよる上限金利の変遷。
年 上限金利
1954年 109.5%
1983年 73%
1986年 54.75%
1991年 40%
2000年 29.2%
2010年 20%
金利の上限というのは法律で制限されているというのが現実。
しかし面白いことに金利の下限は法律で制限されていない。
だからマイナス金利が登場するのである。
法の世界では、金利のマイナスは影響を与えないと考えているのだろうか。
因みに高度経済成長時代の過去最高の普通預金の金利は1974年の3.0%。。
今の普通預金の金利は0.001%程度だ3000倍も違うということ。
定期預金で考えてみても500倍くらいは違います。
昔の金貸したちが得ていたのはプラスの金利。
法外な高さは禁じられた。
今の庶民が略奪されている金利も実は「得ていた筈の財産」とすればすごい料率になる。
この議論は当然法的にされてはいない。
しかし上も下も限界はあるというのが市場であることは間違いない。
(櫻井)。
