波乱含みの展開か

8日の正午前に、安倍元首相が銃撃されるというショッキングなニュースが飛び込んだ。株式市場では一報の伝わった昼休みの時間帯から株価指数先物が急落し、日経平均は前場終値2万6869円(前日比379円高)に対し、大引けは2万6517円(同26円高)まで値を消した。安倍氏は自民党内の最大派閥を率いてきただけに、今後の政策への影響も少なくなさそうだ。
 
週間としては堅調展開だった。日経平均株価は前の週の後半に大きく崩れたが、週明けから節目の2万6000円を上回ってきたことから、押し目を拾う動きが活発となった。そこから2万6500円台に乗せたところではいったん戻り売りに押された。
しかし、2万6000円は割り込むことなく切り返し、改めて戻りを試しに行った。米国株がしっかりとした動きを見せたことが安心材料となり、売り込まれていたハイテク株などに見直し買いが入った。雇用統計発表前に米国株に強い動きが見られたことから、需給面で特異日とみられていた金曜8日もプラスで終了。
週間では約581円の上昇となり、前週の下げ分(約556円)を取り戻した。週足では陽線を形成した。
 
 
来週(11-15日)の東京株式市場は、基本的にインフレを受けた世界景気や米国の金融政策が最大の焦点であることに変わりはないだろう。波乱含みの展開か。
 
株式市場の方向性を決定づける要素はあくまで外部にある。物価の抑制に躍起なFRB(米連邦準備制度理事会)は景気後退も辞さない構え。そうした中、13日に発表される米6月CPI(消費者物価)が再びマーケットを揺さぶる展開には注意をしておきたい。
 
ただし、市場は7月FOMC(米連邦公開市場委員会)における0.75ポイント(3回分)の追加利上げを既に織り込んだものと考えられる。7月分の統計には商品相場の急落が反映されるとの見方から、CPI通過後は底堅さを見せる可能性もある。
 
一方、中国政府が1.5兆元(約30兆円)規模の経済対策を検討していると伝わったことは好材料だろう。8日引け後に開示されたFA(ファクトリー・オートメーション=工場自動化)機器大手の安川電機の23年2月期第1四半期(22年3-5月)決算において、同国向けの受注高が前四半期比35%増えたことは注目される。
 
東京市場は翌週月曜が休場で3連休を控えているため、特に週後半はボラティリティが大きくなりそう。大幅高か大幅安か極端な動きが出てくることも考えられる。
 
 
■上値・下値テクニカル・ポイント(8日現在)
 
27732.07  200日移動平均線
27647.77  ボリンジャー:+1σ(26週)
27449.90  ボリンジャー:+1σ(25日)
27359.08  ボリンジャー:+1σ(13週)
27013.46  均衡表雲上限(日足)
26954.99  均衡表転換線(週足)
26954.99  均衡表基準線(日足)
26954.70  均衡表雲下限(日足)
26954.28  75日移動平均線
26937.22  26週移動平均線
26807.07  13週移動平均線
26748.03  均衡表基準線(週足)
26723.18  25日移動平均線
 
26517.19  ★日経平均株価8日終値
 
26452.03  均衡表転換線(日足)
26271.38  6日移動平均線
26255.06  ボリンジャー:-1σ(13週)
26226.68  ボリンジャー:-1σ(26週)
25996.46  ボリンジャー:-1σ(25日)
25771.22   新値三本足陰転値
25703.05  ボリンジャー:-2σ(13週)
25516.13  ボリンジャー:-2σ(26週)
25269.74  ボリンジャー:-2σ(25日)
25151.04  ボリンジャー:-3σ(13週)
 
 
ローソク足は25日移動平均線上方に上ヒゲを伸ばした後、陰線を引いてほぼ安値引け。一目均衡表では雲下限直下で頭打ちとなり、三役逆転状態が続いた。
ただ、TOPIXは終値が25日線を上回ったほか、日経平均とTOPIXの5日線はともに上向きで終了し、短期的な上昇圧力をキープした格好。
日経平均株価の週足ローソク足は今週陽線の胴体部分が前週陰線の胴体部分に収まる「陰の陽はらみ」を描いており、上昇期待を残して週末を迎える形となっている。
 
 

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