12日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比192ドル51セント(0.6%)安の3万0981ドル33セントで終えた。
この日のダウ平均は、高インフレや中国の新型コロナウイルス感染再拡大による世界的な景気後退懸念を背景に、もみ合う展開で取引が始まった。最近下げが目立っていた景気敏感株を中心に押し目買いが入り、プラス圏で推移する時間帯もあったが、13日の6月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、取引終盤になってインフレ警戒の売りが強まった。
ガソリン高などを受け、CPIは市場予想平均で前年同月比8.8%上昇と5月(8.6%上昇)から一段とインフレが加速する見込み。「市場予想を上回る可能性もある」といい、発表を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まることが警戒された。ダウ平均は引け前に一時300ドルあまり下げた。
中国の新型コロナウイルスの感染再拡大、欧州のエネルギー高による景気懸念も投資家心理の重荷だった。米主要企業の決算発表シーズンに入り、ドル高が海外収益を押し下げるとの見方も投資家の慎重姿勢につながった。
業務管理ソフトを手掛けるサービスナウの最高経営責任者(CEO)が米メディアで欧州需要の低迷とドル高懸念に言及したと伝わり、企業向けソフトを手掛ける銘柄に売りが広がった。ダウ平均の構成銘柄では顧客情報管理のセールスフォースが5%安、ソフトウエアのマイクロソフトが4%安となった。米原油相場の急落を受けて石油のシェブロンも売られた。
一方、景気敏感株や消費関連株の一角には押し目買いが入った。2022年4~6月期の出荷機数が大幅に増えたと発表した航空機のボーイングが7%高と急伸し、ダウ平均を支えた。ダウ平均の構成銘柄ではないが、夏場の旅行・レジャー需要の回復期待から空運株やクルーズ船株も大幅高となった。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比107.871ポイント(0.9%)安の1万1264.728で終えた。企業向けソフトを手掛ける銘柄が総崩れとなり、指数を押し下げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
30,981.33-192.51
S&P500種
3,818.80-35.63
ナスダック
11,264.728-107.871
FTウィルシャー5000
38,749.39-336.58
NY金(ドル/トロイオンス)
1,724.80-6.90
NY原油(ドル/バレル)
95.67-0.17
円・ドル
136.85 – 136.87-0.49
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は続落した。9月物は前日比150円安の2万6435円で引け、12日の大取終値を155円上回った。インフレ加速への警戒感から日経平均先物は米株とともに売られた。13日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)が一段の物価上昇を示すとの見方が強まった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26435 ( +155 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)26470 ( +190 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7209.86(+13.27)
12日のFTSE100種総合株価指数は小幅に5日続伸し、前日に比べ13.27ポイント(0.18%)高の7209.86で引けた。外国為替市場でポンド安傾向が続くなか、飲食料品・たばこ株や日用品株など、英国外での売上高比率が高いセクターが買われた。
FTSEでは、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が6.5%高と上昇率トップ。指数構成銘柄の約7割が上昇した。原油安を受け、BP(2.0%安)やシェル(1.6%安)はさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12905.48(+73.04)
12日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ73.04ポイント(0.57%)高の1万2905.48で終えた。12日の米国の株高で買い安心感が広がった。天然ガスの供給懸念やドイツの景気予測指数が大幅に悪化したことから下げていたが、午後にかけて買いが優勢になった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6044.20(+47.90)
フランスCAC40種指数は0.80%高だった。
景気後退への懸念から下落して始まったものの、取引終盤にかけて値を戻した。
