NYダウ176ドル安、金融引き締めへの警戒感

 
1日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比176ドル89セント(0.5%)安の3万2813ドル23セントで終えた。米長期金利がほぼ2週間ぶりに2.9%台に上昇した。インフレ懸念や米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めへの警戒感が意識され、投資家心理の重荷となった。
 
米労働省が午前に発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人数は1140万人と、前月から減少した。自発的な離職者数はやや減少し、離職率も低下したものの、依然高水準を維持した。市場では、「賃金上昇によるインフレ圧力の高まりを緩和し、バランスのとれた労働市場にするため、FRBには多くの仕事がある」と受け止められ、利上げ路線が継続するとの見方が台頭。急速な利上げによる景気後退懸念が強まった。
 
また、1日発表の5月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想に反して上昇し、米景気の強さを示したと受け止められた。FRBが9月以降も通常の倍の0.5%の利上げを継続するとの見方が強まった。
 
ISM指数の発表後に米長期金利が一時2.95%(前日終値は2.84%)と5月半ば以来の水準に上昇し、幅広い銘柄で売りを誘った。
小売りのウォルマートやクレジットカードのアメリカン・エキスプレス、映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連銘柄の下げが目立った。JPモルガン・チェースなど金融も安い。ダウ平均は一時405ドル安となった。
 
ただ、ダウ平均は引けにかけて前日終値付近まで下げ渋る場面もあり、方向感に欠ける展開だった。「景気後退や金融引き締め継続など当面のリスクは株価に織り込まれたとの見方があり、相場の底入れ期待や値ごろ感が意識されやすい」との声があった。
 
前日夕に発表した決算が市場予想を上回った顧客情報管理のセールスフォースが10%高で終え、ダウ平均を支えた。原油高を受けて石油のシェブロンが買われ、資源価格が上がると買われやすい建機のキャタピラーも上げた。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比86.931ポイント(0.7%)安の1万1994.460で終えた。著名経営者のシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)の退任を明らかにした交流サイトのメタプラットフォームズが3%安で終えた。3日に株式分割を控えるネット通販のアマゾン・ドット・コムは2%上昇した。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,813.23-176.89
S&P500種
4,101.23-30.92
ナスダック
11,994.460-86.931
FTウィルシャー5000
41,595.70-304.45
NY金(ドル/トロイオンス)
1,848.70+0.30
NY原油(ドル/バレル)
113.60-1.66
円・ドル
130.17 – 130.19+0.78
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

1日のシカゴ日経平均先物は続伸した。6月物は前日比250円高の2万7430円で引け、1日の大取終値を70円下回った。
朝方の米国市場では、前日引け後に市場予想を上回る四半期決算を発表したセールスフォースが大幅高となり相場を押し上げ、また他のハイテク株にも買いが波及した。その後は米長期金利の上昇が上値を抑えたものの、好調な米景気指標を手掛かりに円安が進み、日本株買いを支えた。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27430 ( -70 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27440 ( -60 )
( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7532.95(-74.71)
1日のFTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。前日に比べ74.71ポイント(0.98%)安の7532.95で引けた。英国ではエリザベス女王の即位70周年を記念した祝賀行事のため、あすから祝日を含め4連休となる。長期休みを前に運用リスクを取りにくく、利益を確定する目的の売りが優勢だった。FTSEは指数構成銘柄の約9割が下落。賭け屋大手フラッター・エンターテインメントが4.9%安と下落率トップで、消費関連株や金融関連株の下げが目立った。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14340.47(-47.88)
1日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ47.88ポイント(0.33%)安の1万4340.47で終えた。高インフレで米金融引き締めや欧州の金融正常化が加速するとの観測が強まる中、経済成長の鈍化を懸念した売りが出た。
 
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6418.89(-49.91)
フランスCAC40種指数は0.77%安だった。
軒並み上昇して始まったものの、5月のISM米製造業PMIが強い結果になったことで、米利上げへの警戒感が強まり、下落に転じた。
 

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