3日の日経平均株価は大幅反発し、累積出来高の多い2万7500円のハードルを越え、終値は2万7761円(前日比347円高)と2カ月ぶりの高値水準に浮上した。
米雇用指標が市場予想を下回り、過度な金融引き締めへの警戒感が後退し、前日の米国株式が大幅反発した流れを好感した。
もっとも、依然として騰勢の強い原油先物相場を踏まえると、FRB(米連邦準備制度理事会)が一段とタカ派に傾斜する余地も潜在する。米長期金利が上昇することで、リスクオフが再燃する可能性がぬぐえない。
チャート上では4月の高値を超えて上値切り上げの形へ移行。25日線も75日線も上向きに転じ、緩やかながらも中期的な上昇基調の形を取りつつある。残すは上値200日移動平均線(2万7940円)をクリアするだけという状況だろう。
日経平均株価は大きく上げて3週連続高。大きな週足陽線で13週移動平均線(2万6965円)、26週移動平均線(2万7333円)を一気に上抜き、週足チャートにおけるきれいな基調転換を果たしている。
今年1月安値(2万6044円)、3月安値(2万4681円)、5月安値(2万5688円)とチャートの形の上でも「逆三尊」という強い底打ちパターンを形成中。残すは上値52週移動平均線(2万8024円)を捉えるのみとなっている。長期化するウクライナ情勢から原油高は当面続き、米国の利上げも秋までは確実に続くだろう。それでも経済がこれ以上悪くならないとの見方から当面は緩やかな回復相場を続けて行くことになりそう。
6月相場としては2万8000円台を見ることも十分可能だろう。
今夜発表される米雇用統計については、特に賃金動向が重要とみられている。賃金の伸び減速が、市場予想以上に進めば、金利先高観は弱まることにつながり、株式市場には追い風になることが想定され、雇用統計を受けた米国市場の動きにも注意が必要だろう。
今週の日経平均終値は2万7761円で、前週末979円高。
来週は堅調展開か。金曜10日に米国で5月消費者物価指数(CPI)の発表が控えている。米国のインフレ動向を見定める重要指標でもあり、最近はCPIを受けて米国株が大きく動くことも多い。ただ、来週の東京市場では、この結果をまだ消化できない。翌週にFOMC(14~15日)が予定されていることもあり、基本的には「待ち」の週になる。足元では米国の長期金利が再び上昇し始めている。
また、9日にはECB理事会があり、欧州経由で金融引き締めを強く意識するといった展開も想定される。
ただ、米国株はダウ平均が8週続落した後は持ち直し基調にあり、弱材料にはある程度の耐性を示すと思われる。日本株も足元で値動きが良くなっている上に、米金利が上昇した場合には、円安進行が下支えになると期待できる。スケジュール的に上値追いには慎重になるとみるものの、押し目があれば買いは入りやすく、下値はかなり堅いと予想する。
■上値・下値テクニカル・ポイント(3日現在)
29040.94 ボリンジャー:+3σ(13週)
28825.03 均衡表雲上限(週足)
28578.72 均衡表雲下限(週足)
28349.13 ボリンジャー:+2σ(13週)
28210.34 ボリンジャー:+1σ(26週)
28107.41 ボリンジャー:+3σ(25日)
27940.22 200日移動平均線
27761.57 ★日経平均株価3日終値
27658.13 ボリンジャー:+2σ(25日)
27657.32 ボリンジャー:+1σ(13週)
27344.04 6日移動平均線
27333.54 26週移動平均線
27208.86 ボリンジャー:+1σ(25日)
27177.18 均衡表転換線(日足)
27163.25 均衡表雲上限(日足)
27034.95 均衡表基準線(週足)
27001.52 新値三本足陰転値
26965.51 13週移動平均線
26827.03 均衡表転換線(週足)
26807.50 75日移動平均線
26759.58 25日移動平均線
ローソク足はマドを空けて上げ、上ヒゲの短い小陽線で引けて強い買い圧力が続いたことを裏付けた。4月21日の戻り高値を寄付きから上抜き、日中高値27776.33円は上値抵抗線として意識される200日移動平均線(27940.22円)にあと163.89円まで距離を詰めた
株価下では25日線が上昇角度を増して75日線とのゴールデンクロス形成を窺っているほか、昨日三役好転した一目均衡表で基準線が上向きに転じており、チャート形状は一段と強気側へ傾いたことになる。2
5日線との上方乖離率は3.74%(昨日2.62%)、東証プライム市場の騰落レシオ(25日ベース)は108.47%(昨日101.29%)と、本日はともに中立ゾーンにとどまり、来週に上値余地を残している。
