6日のNYダウ工業株30種平均は小反発し、前週末比16ドル08セント(0.04%)高の3万2915ドル78セントで終えた。
中国での新型コロナウイルスに関する規制緩和を受けて経済正常化の期待が広がり、投資家のリスク回避姿勢が後退。朝方から買いが優勢となり、ダウの上げ幅は一時300ドルを超えた。
中国・北京市は6日、新型コロナウイルスの感染対策のための行動規制を緩和した。1日には上海市が都市封鎖を解除し、中国経済の回復期待が広がった。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が6日、中国当局が配車アプリの滴滴出行(ディディ)に対して利用者の新規獲得の禁止などの規制を解除すると報じた。中国企業に課している規制が緩められるとの見方も投資家心理の改善につながった。
だが、米長期金利が一時、前週末比0.11%高い3.04%とほぼ1カ月ぶりの高水準を付けた。長期金利上昇が嫌気され、割高感が意識されやすいハイテク株への売りが膨らみ、ダウは徐々に値を消す展開。この日は米主要経済指標の発表がなく手掛かり難で、週末に明らかにされる米インフレ統計を見極めたいとのムードが広がる中、取引終盤は前週末終値近辺でもみ合った。
前週末発表の5月の米雇用統計が堅調で、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを続けるとの見方が長期金利上昇を招いている。市場では金利上昇の背景として「中国の経済正常化は経済成長を支える半面、需要拡大で世界的なインフレ圧力につながる可能性が意識された」(グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツのウォルター・トッド氏)との指摘もあった。
ハイテク株の一角が売られ、顧客情報管理のセールスフォースやソフトウエアのマイクロソフトが安い。映画・娯楽のウォルト・ディズニーやスポーツ用品のナイキなど消費関連株も総じて売られた。米原油先物相場が下落し、石油のシェブロンも下げた。
一方、ディフェンシブ株への買いが相場を支えた。保険のトラベラーズや医療保険のユナイテッドヘルス・グループ、通信のベライゾン・コミュニケーションズが高い。米長期金利の上昇を受け、金融のゴールドマン・サックスも買われた。
ナスダック総合株価指数は反発し、前週末比48.636ポイント(0.4%)高の1万2061.370で終えた。3日に株式分割したネット通販のアマゾン・ドット・コムが買われた。検索サイトのアルファベットや交流サイトのメタプラットフォームズは2%高となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
32,915.78+16.08
S&P500種
4,121.43+12.89
ナスダック
12,061.370+48.636
FTウィルシャー5000
41,869.99+133.29
NY金(ドル/トロイオンス)
1,843.70-6.50
NY原油(ドル/バレル)
118.86+0.36
円・ドル
131.98 – 132.01+1.2
【シカゴ日本株先物概況】
6日のシカゴ日経平均先物は反発した。6月物は前週末比450円高の2万8025円で引け、6日の大取終値を115円上回った。
米株式市場で中国経済の持ち直し期待などから強めに始まり、序盤には上げ幅を300ドル超に広げた。しかし、米10年債利回りが3%台に乗せたことで金融引き締めへの警戒が強まり値を消した。終盤には下げに転じる場面もあったが、引けでは小幅ながらプラスを確保した。米株が反発したことで日経平均先物にも買い物が入った。金利先高感は強く、一段の買い意欲は続かなかった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28025 ( +115 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28025 ( +115 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7608.22(+75.27)
連休明け6日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前営業日の1日に比べ75.27ポイント(1.00%)高の7608.22で引けた。中国・北京市での行動規制の緩和や同国当局による景気下支え策への期待から、商品相場が上昇しており、資源株やエネルギー株が買われた。
FTSEの個別銘柄を見ると、英航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが4.7%高で上昇率トップ。英石油大手BPは2.1%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14653.81(+193.72)
6日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前週末に比べ193.72ポイント(1.34%)高の1万4653.81で終えた。中国・北京市の新型コロナウイルス対応の行動制限の緩和に加え、同国当局による産業規制が緩和されるとの期待感から、投資家心理が上向いた。
DAXではドイツ銀行が2.5%高と堅調だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6548.78(+63.48)
フランスCAC40種指数は0.98%高となった。全体的に投資家のリスク回避姿勢が和らぐ中、株式相場は買い戻しが先行した。
CACでは仏自動車大手ルノーが3.3%高と締まった。
