9日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前日比44円16銭(0.16%)高の2万8278円45銭だった。
きょう前場は、前日の米国株市場が安かったこともあり目先利益確定の動きを誘発したが、下値では買い意欲も旺盛だった。寄り付きこそ安く始まったものの、その後はプラス圏に切り返す展開となった。外国為替市場で1ドル=134円台まで円安が進んでいることや、岸田政権による骨太の方針など政策への期待感も買いを誘う背景となっている。
輸出企業の採算改善につながるとの見方から、トヨタなどに買いが入った。
「多くの輸出企業は今期の想定為替レートを足元よりも円高に設定しており、収益改善に対する投資家の期待が高い」と指摘した。
ただ、日経平均は前日までに4日続伸し2万8000円の節目を超えたこともあり、短期的な過熱感から上げ幅は限られた。
市場では「日経平均株価は足元でやや上値が重いが、200日移動平均線や心理的なフシ目の2万8000円を上抜けたことで、地合いは好転したとみられる」の見方があった。
東証株価指数(TOPIX)は続伸し、午前の終値は前日比2.86ポイント(0.15%)高の1972.84だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆5370億円、売買高は6億2079万株だった。東証プライム市場の値上がり銘柄数は910、値下がりは840、変わらずは86だった。
業種別株価指数(33業種)では鉱業、繊維製品、輸送用機器などが上昇。海運業、電気・ガス業、鉄鋼などは下落。
個別では、米国市場での中国株の急伸を受けてソフトバンクGが大幅に上昇。ファーストリテ、キーエンス、任天堂などが堅調。原油価格の高騰を通じてINPEX、石油資源開発が大きく買われた。米長期金利の上昇で三菱UFJが買い優勢。円安進行を背景にSUBARU、日産自が大幅高。ほか、ダブル・スコープ、ベイカレント、メルカリ、SHIFT、ヤマハなどが高い。東証プライム市場値上がり率上位には連日でストップ安となっていたIRJHDや今期見通しが評価されたビューティガレージのほか、SREHD、ソースネクストが買われている。
一方、バルチック海運指数の下落や世界の海運関連株の急落を受けて郵船、商船三井、川崎汽船が軒並み安い。米半導体大手インテルの最高財務責任者(CFO)がマクロ環境の見通しについてネガティブな見解を示したことで、前日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は大幅に下落、これが嫌気され、東エレク、ルネサス、アドバンテストなど半導体関連株が全般大きく下げた。シャープ、くら寿司、アイモバイル、丹青社などは決算が売りに繋がった。
