NYダウ反落280ドル安、金融引き締め加速を懸念

 

5日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比280ドル70セント(0.8%)安の3万4641ドル18セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融を引き締めるとの観測が広がり、米長期金利が3年ぶりの高水準を付けた。金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が売られた。金融引き締めが米景気を冷やすとの懸念も相場の重荷だった。
 
ブレイナードFRB理事は5日の講演で、早ければ、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和で膨らんだ総資産の圧縮(QT)を開始するとの見通しを示した。そのうえで、前回の資産圧縮に比べ、「著しく大きな削減枠を設け、短期間、大幅に速いペースで進める」と積極的に金融引き締めを進めるべきだとの考えを表明した。「インフレがあまりに高過ぎる。上振れリスクもある」とも述べ、0.5%の大幅利上げにも含みを持たせた。
ハト派で知られる同氏の金融引き締めに積極的な発言を受け、米長期金利は一時前日比0.17%高い2.56%を付けた。
 
3月下旬以降、戻りが鮮明だったハイテク株が金利上昇をきっかけに売られた。顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが4%、スマートフォンのアップルは2%下げた。ソフトウエアのマイクロソフトも安い。ダウ平均の構成銘柄以外では、ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラに加え、エヌビディアなど半導体株の下げが目立った。
 
金融引き締めに加え、対ロ制裁の強化に伴う世界景気の不透明感も意識され、景気敏感株も売りが優勢だった。欧州連合(EU)はロシアへの追加制裁として同国産の石炭の輸入停止を含む制裁案を公表し、米国は6日にも新たな制裁を発表すると伝わった。景気敏感株では航空機のボーイングが4%安となり、建機のキャタピラーや金融のゴールドマン・サックスも下げた。
 
半面、業績が景気に左右されにくいディフェンシブ株はリスク回避の買いで上昇した。医療保険のユナイテッドヘルス・グループや外食のマクドナルド、医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が高い。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比328.386ポイント(2.3%)安の1万4204.168で終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,641.18-280.70
S&P500種
4,525.12-57.52
ナスダック
14,204.168-328.386
FTウィルシャー5000
46,151.14-669.96
NY金(ドル/トロイオンス)
1,927.50-6.50
NY原油(ドル/バレル)
101.41-0.55
円・ドル
123.60 – 123.62+0.71
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

5日のシカゴ日経平均先物は反落。6月物は前日比480円安の2万7520円で引け、大取終値を280円下回った。
ブレイナード理事が早くて5月連邦公開市場委員会(FOMC)で、保有資産縮小を開始する可能性を示唆し金利が急伸したためハイテク株が大きく売られた。終日軟調に推移し、引けにかけて主要株式指数は下げ幅を拡大した。
日経平均先物は、米長期金利の上昇を受けた米株式相場の下落につれ安となった。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27520 ( -280 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27565 ( -235 )
 ( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7613.72(+54.80)
5日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日に比べ54.80ポイント(0.72%)高の7613.72で引けた。ウクライナ情勢を巡る不透明感が強いなか、医薬品や公益事業などディフェンシブ株に買いが入った。FTSEでは、指数構成銘柄のほぼ半数が上昇した。送電大手ナショナル・グリッド(3.6%高)やエネルギー大手SSE(3.5%高)などエネルギー関連株が堅調だった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14424.36(-93.80)
5日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落し、前日比93.80ポイント(0.65%)安の1万4424.36で終えた。欧州連合(EU)が5日、ロシア産石炭の輸入停止を含む制裁案を公表した。エネルギー価格の高止まりが意識され、ドイツ経済を下押しするとの懸念が株式の売りにつながった。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6645.51(-85.86)
フランスCAC40種指数は1.28%安だった。
欧米によるロシアへの追加制裁が報じられたことで、リスク回避ムードが強まった。

 

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