5日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに大幅反落し、前日比1063ドル09セント安の3万2997ドル97セントで終えた。下落幅は2020年6月以来ほぼ2年ぶりの大きさ。
前日はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見で、0.75%の利上げについて「積極的に検討していない」と発言。市場で大幅利上げへの過度な懸念が後退し、ダウ平均は終値としては今年最大の上げ幅となる932ドル高で引けた。
5日は一転して急速な金融引き締めに伴う景気悪化リスクが再び意識され、売りが拡大。ダウの下げ幅は一時約1375ドルとなり、前日の上昇分を全て打ち消した。
米国のインフレ懸念が高まり、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを続けるとの見方が再燃した。米長期金利が3年半ぶりの水準に上昇し、ハイテク株を中心に売りが膨らんだ。
インフレ懸念を強める材料が相次いだ。米原油先物相場は朝方に1バレル=111ドル台と3月以来の水準に上昇。5日朝発表の22年1~3月期の米労働生産性が前期比年率7.5%低下し、低下率は1947年以来の大きさだった。労働生産性の低下はインフレを加速させる。また、英中央銀行のイングランド銀行は5日、10~12月期の物価上昇率が10%を超えるとの見通しを示した。
米債券市場では長期金利が一時3.10%と18年11月以来の高水準を付けた。
長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が売られた。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップル、ソフトウエアのマイクロソフトの下げが目立った。
インフレが消費意欲を冷やすとの見方から消費関連株にも売りが膨らんだ。スポーツ用品のナイキやホームセンターのホーム・デポ、クレジットカードのビザが安い。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに急反落した。前日比647.165ポイント安の1万2317.691で終え、年初来安値を更新した。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は大幅に反落した。6月物は前日比690円安の2万6735円で引け、2日の大取終値を75円下回った。
積極的な米金融引き締め政策への警戒感が再燃し、日経平均先物は米株とともに売られた。
5日発表の1~3月の米労働生産性で労働コストが上昇し、インフレ懸念が強まった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
5日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反発し、前日に比べ9.82ポイント(0.13%)高の7503.27で引けた。
FTSEはポンドの下落に支えられ、プラス圏を維持して終了した。好決算を発表した石油大手シェルが3.1%高と買われた。原油高に支えられ、同BPも0.7%高と堅調だった。
エネルギー株が買われ、指数を支えた。もっとも、5日の米株式相場の大幅下落が投資家心理を冷やし、英国時間の午後にかけて急速に上げ幅を縮小した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ68.30ポイント(0.49%)安の1万3902.52で終えた。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め方針が改めて意識される中、同日の米株式相場が大幅に下落しており、投資家心理を冷やした。午前は堅調に推移していたが、英国時間午後に下げに転じた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.43%安だった。
米国株が5日に急反落して始まると値を消した。
