7日午前の日経平均株価は大幅に続落した。前週末比819円24銭(3.15%)安の2万5166円23銭で終え、2月24日に付けた終値ベースの昨年来安値(2万5970円82銭)を大きく下回った。
ウクライナ情勢を巡り欧米諸国がロシアからの原油輸入の禁止を検討していると伝わった。供給逼迫の懸念から原油先物価格は急騰。対ロシア制裁による世界景気の悪化リスクを反映しては日経平均株価は急落した。下げ幅は1000円に迫る場面があった。心理的節目の2万5000円近辺では買いが入り下げ幅をやや縮小して前場を終えた。
マーケットを巡る環境は混沌としている。ウクライナ情勢については、ロシアのプーチン大統領に手を緩める気配は一向に見られず、ロシア軍は核施設まで制圧対象にしてきているほか、ここにきて民間人までも攻撃対象としている様子で、行動がますます過激化している。こうした事態の深刻化を受けて、欧米諸国はロシア産原油の輸入禁止を検討していると伝わっている。これまで経済への影響を考慮して避けてきたエネルギー産業への制裁強化も避けられないとの見方に転じつつあるようだ。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は日本時間7日午前の取引で大幅高となった。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油の期近4月物は一時1バレル130.50ドルと2008年7月以来の高値を付けた。前週末は115ドル台で終えていた。原油価格の高騰はエネルギーを輸入に依存する日本経済にマイナスとの見方から幅広い銘柄に売りが出た。
市場では「資源高や欧米による対ロシア制裁が企業利益をどれほど圧迫するのか読み切れず、適正な株価水準が割り出せない状態」との声があった。先行き不透明感も株安に拍車をかけた。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆9114億円、売買高は8億9036万株だった。JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も続落した。東証1部の値下がり銘柄数は1924と約9割。値上がりは213銘柄、変わらずは43銘柄だった。
セクターでは空運業、輸送用機器、機械などが下落率上位に並んだ。一方、鉱業、石油・石炭製品、海運業などが上昇率上位に並んだ。
個別では、レーザーテック、日立、SMCなどが7%超の下落で、トヨタ自は5%超、スズキなど自動車関連株の下げが目立った。データ改ざんなど不正を発表した日野自動車はストップ安となっている。デンソーは6%超の下落。ソフトバンクG、JAL、村田製、日立、信越化、日本電産、ダイキン、アドバンテストなどが大幅安。板硝子やマキタなどの欧州売上比率が高い銘柄も急落。業績予想を下方修正したラクーンHDも大きく売られた。
一方、原油先物価格をはじめ資源価格の高騰を受けてINPEX、三菱商事、三菱マ、住友鉱などが上昇。供給網混乱への思惑から商船三井など海運も高い。東証1部上昇率上位には日本コークスなどが並んでいる。
東証2部指数は前週末比130.93ポイント安の6947.49ポイントと続落した。値上がり銘柄数は57、値下がり銘柄数は357となった。
個別ではJESCOホールディングス、クシム、プレミアムウォーターホールディングス、パレモ・ホールディングス、アップルインターナショナルなど36銘柄が昨年来安値を更新。SDSホールディングス、ハイレックスコーポレーション、ユーピーアール、エヌリンクス、ウインテストが売られた。
一方、JFEシステムズが昨年来高値を更新。東邦金属、ロブテックス、インタートレード、TVE、伊勢化学工業が買われた。
