ダウ続落229ドル安、停戦期待が後退

 
11日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比229ドル88セント(0.7%)安の3万2944ドル19セントで終えた。
 
ダウ平均は取引前半、プラス圏を維持。ロシアのプーチン大統領がこの日、ウクライナとの停戦交渉に関して「幾つかの前向きな進展があった」と発言し、投資家のリスク選好姿勢が復活した。
ただ、日米欧による対ロシア追加経済制裁発表などを嫌気し、次第に売りが優勢となった。バイデン米大統領は、ロシアに対する貿易優遇措置「最恵国待遇」の取り消しや、ロシア産ダイヤモンドやウオッカなどの輸入禁止を表明した。先進7カ国(G7)もこれに呼応し、ロシアへの貿易優遇策を撤廃する方針を示した。引けにかけて下げ幅を拡大し、この日の最安値圏で終えた。
 
ロシアのプーチン大統領が隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談で「ウクライナとの対話で前進があった」と述べたと11日に伝わった。発言を好感した買いでダウ平均は一時、341ドル高まで上昇した。
ただ、買いの勢いは続かなかった。戦闘地域から離れていたウクライナ西部の都市が攻撃を受けたとも報じられ、情勢を見極めたいムードが強まった。バイデン米大統領は11日、世界貿易機関(WTO)の規定に基づく「最恵国待遇」からロシアを外す方針を示した。実現すれば、ロシアからの輸入品への関税が大幅に引き上げられる。欧米の対ロ制裁が一段と強まるとの見方も世界景気への影響を懸念した売りを誘った。
 
11日に発表された3月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ)は59.7と前月(62.8)から低下し、市場予想(62.0)も下回った。同調査によると消費者が予想する1年先のインフレ率は1981年以来の高さとなった。インフレ加速が消費を冷やしかねないとの懸念も相場の重荷だった。
 
景気敏感や消費関連株の一角が売られた。スポーツ用品のナイキが3%安、銀行のJPモルガン・チェースや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)は2%安で終えた。米長期金利が上昇した局面で相対的な割高感が増したハイテク株も下げ、スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトはともに2%安。
 
半面、外食のマクドナルドやバイオ製薬のアムジェンといったディフェンシブ株は買われた。資源高が業績の追い風になる建機のキャタピラーも高い。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比286.155ポイント(2.2%)安の1万2843.808で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズ(旧フェイスブック)や電気自動車のテスラの下げが目立った。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,944.19-229.88
S&P500種
4,204.31-55.21
ナスダック
12,843.808-286.155
FTウィルシャー5000
42,966.62-607.06
NY金(ドル/トロイオンス)
1,985.00-15.40
NY原油(ドル/バレル)
109.09+3.07
円・ドル
117.29 – 117.31+1.37
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

11日のシカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比155円安の2万4905円で引け、11日の大取終値を185円下回った。

ウクライナ情勢の先行きが不透明ななか週末を控えたリスク回避の売りが優勢になった。朝方はロシアのプーチン大統領の発言が伝わり、停戦期待から買いが先行した。
11日発表の3月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ)で、1年先のインフレ率予想が約40年ぶりの高水準だったことも嫌気された。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策会合を来週に控えた警戒感から、ダウ平均は取引終盤にマイナス圏に沈んだ後、下げ幅を広げた。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
24905 ( -185 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
24970 ( -120 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

11日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ56.55ポイント(0.80%)高の7155.64で引けた。11日発表の1月の英国内総生産(GDP)が市場予想を上回る増加となり、英景気への楽観的な見通しが株式の買いを誘った。
FTSE100では、指数構成銘柄の7割超が上昇した。投資会社による買収提案が報じられた教育・メディア大手ピアソン(18.0%高)やロシア系の産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナル(12.1%高)が急騰した。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

11日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比186.01ポイント(1.38%)高の1万3628.11で終えた。前日に大幅に下落していたため、自律反発を見込んだ買いが優勢だった。ウクライナとロシアとの交渉が進展するとの期待も投資家心理を支えた。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.85%高の6260.25だった。
ロシアのプーチン大統領がウクライナとの停戦に向け「進展があった」と述べたと報じられたことをきっかけに、ウクライナ情勢の改善期待が高まり、買いが優勢となった。
 

 

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