ダウ3日続伸518ドル高、FRB議長会見を好感

16日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比518ドル76セント(1.5%)高の3万4063ドル10セントで終えた。
ウクライナとロシアの停戦交渉や中国政府による景気刺激策への期待が強まり、景気敏感株を中心に買いが優勢だった。
連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定発表を午後に控え、株価は中盤まで堅調に推移した。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる停戦交渉で一定の進展がみられた可能性があることや、中国の劉鶴副首相が資本市場安定化に前向きな考えを示したことが相場を支えた。半面、朝方発表の2月の米小売売上高は、市場予想を小幅に下回るやや弱い内容だった。
 
ウクライナのゼレンスキー大統領が16日のビデオ演説で、ロシアとの停戦に向けた対話について「交渉に現実味が出てきた」と述べた。中国政府が景気対策や米中の企業会計監査を巡る対立の解決に向けて動いていると中国の新華社通信が16日報じた。投資家の不安心理がやや和らぎ、ダウ平均は午前中に前日比531ドル高まで上げる場面があった。
午後に入り、FRBが今回のFOMCで、政策金利の0.25%引き上げを決めたと発表。FRBは記録的な物価高に対処するため、2年間続けてきた事実上のゼロ金利の解除に踏み切った。
利上げは2018年12月以来。四半期に1回公表する委員らの政策金利見通しでは、年内の利上げ回数は今回を含め7回と前回12月会合の3回から大幅に増やした。23年にも4回(厳密には3.5回)の利上げを実施し、最終的な政策金利は2.75%に高まるとの予想を示した。
 
一方、景気を冷やしもふかしもしない中立金利に当たる長期均衡金利は従来の2.5%から2.4%に引き下げた。23年中に中立金利を上回る水準まで政策金利を引き上げ、景気をある程度犠牲にしてでもインフレを抑える方針を示した。結果公表後に売りが膨らみ、ダウ平均は153ドル安となる場面があった。
 
売り一巡後は再び買いが優勢となった。FRBは9兆ドル規模に膨らんだバランスシートの縮小方法の詳細については発表しなかった。市場の一部では削減額など詳細が発表されるとの観測もあったため、発表がなかったことで持ち高調整の買いも入ったようだ。
 
アナリストが強気な評価をした航空機のボーイングが5%上昇した。中国売上高比率が高いスポーツ用品のナイキも上げが目立った。米長期金利の上昇を受け利ざやの改善期待からJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなどの金融株も買われた。スマートフォンのアップルや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムなどハイテク株も高い。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,063.10+518.76
S&P500種
4,357.86+95.41
ナスダック
13,436.553+487.932
FTウィルシャー5000
44,481.13+1,042.19
NY金(ドル/トロイオンス)
1,909.20-20.50
NY原油(ドル/バレル)
95.40+0.36
円・ドル
118.90 – 118.93+0.53
 
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

16日のシカゴ日経平均先物は続伸した。6月物は前日比750円高の2万6125円で引け、16日の大取終値を525円上回った。ウクライナとロシアの停戦交渉への期待などを背景に日経平均先物は米株とともに買われた。米連邦準備理事会(FRB)が16日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、利上げ加速を示したものの売りは限られ、この日の高値近くで引けた。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
26125 ( +525 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
26165 ( +565 )
( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7291.68(+115.98)
16日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ115.98ポイント(1.62%)高の7291.68で引けた。中国政府が景気支援策を打ち出すとの見方から16日の中国の株式相場が急反発し、投資家が運用リスクを取りやすい雰囲気が広がった。
FTSEの指数構成銘柄の約8割が上昇。金融株や資源株がけん引した。
 
個別銘柄では、チリ産銅大手アントファガスタが6.6%高、英金融大手バークレイズも4.2%高と買われた。英高級衣料バーバリーは6.2%高と締まった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14440.74(+523.47)
16日のドイツ株価指数(DAX)は大幅反発し、前日比523.47ポイント(3.76%)高の1万4440.74で終えた。中国政府が同国景気を下支えする方針を示したことを受け、ドイツ経済への好影響を期待した買いが入った。ウクライナとロシアとの停戦交渉に楽観的な見方が広がったのも、株式への買いを進めやすくした。ドイツ銀行が7.2%高と堅調だった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6588.64(+233.64)
フランスCAC40種指数は3.68%高となった。
ロシアとウクライナの停戦交渉の進展に期待感が広がり、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ。特にロシアとつながりの深い欧州大陸の株価指数の上昇が目立った。フランス金融大手BNPパリバが6%高とこわばった。

 

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