28日午前の日経平均株価は反落し、前週末比162円64銭安の2万7987円20銭で前場を終えた。
前週末まで日経平均が9連騰を記録していた反動で主力株をはじめ広範囲に利益確定の売りが優勢となった。あすに3月の実質最終売買日を控え、配当や株主優待など駆け込み的な権利取りの動きが出たものの、日経平均は前引け時点で2万8000円大台を割り込んでいる。外国為替市場での円安進行が輸出セクターに有利に働き、大きく下値を売り込む動きはみられないものの、中国では新型コロナウイルスの感染拡大を背景にロックダウンの動きが相次いでおり、これによる企業業績への影響を懸念する売りが五月雨的に観測されている。
前週末25日のNYダウ工業株30種平均は上昇したが、ナスダック総合株価指数は小幅に下落した。きょうの東京株式市場では値がさの半導体関連などに利益確定売りが広がった。市場では「一段と上値を試すには材料不足」との声が聞かれた。
中国の上海市は28日から金融機関などが集積する東部を対象に事実上のロックダウン(都市封鎖)を始めた。企業活動に影響が及ぶとの懸念も相場の重荷となった。
日銀が10時10分に指定した利回りで無制限に国債を買い取る「指し値オペ(公開市場操作)」を実施すると通知した。日米金利差の拡大への思惑で円相場が1ドル=123円台まで下落し、輸出関連に追い風になるとの見方から株価指数先物に買いが入り、相場を支えた。
市場からは「朝方は、利益確定売りが先行したが、日銀が指し値オペ通知で円安が進み、指数をサポートした。ただ、相場には過熱感があり、調整が必要だろう」との声が聞かれた。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も下落した。前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆3824億円、売買高は5億9008万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1290と、全体の約6割を占めた。値上がりは774、変わらずは116銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は非鉄金属、海運業、鉄鋼などが下落。上昇は空運業、石油・石炭製品、鉱業など。
個別では、日本郵船、商船三井などが冴えず、レーザーテックも売り優勢。信越化学工業、東エレクなど主力の値がさ株が下げた。ファーストリテイリングやソフトバンクグループ(SBG)も安い。Sansanが急落、マネーフォワードも大幅安。低位株では名村造船所の下げが目立った。
半面、円安・ドル高進行を受け、トヨタ自動車やSUBARUがしっかり、原油高を背景にINPEXも強含みで推移している。三菱重工業が堅調、日本航空、ANAホールディングスなど空運株も頑強な値動き。低位株のランドビジネスが値を飛ばしたほか、前週末ストップ高した大豊建設が大幅続伸。
東証2部株価指数は前週末比16.72ポイント安の7256.80ポイントと13日ぶり反落した。
出来高は4260万株。値上がり銘柄数は154、値下がり銘柄数は222となった。
個別では、東邦金属、内海造船、ジー・スリーホールディングス、木村工機、東亜石油が売られた。
一方、リード、ナガホリがストップ高。フライトホールディングス、サンセイは一時ストップ高と値を飛ばした。ICDAホールディングス、サンユウ、平和紙業など4銘柄は昨年来高値を更新。SDSホールディングス、金下建設、ケアサービス、西部電機、イサム塗料が買われた。
