30日午前の日経平均株価は反落し、前日比358円50銭安の2万7893円92銭で終えた。きょう前場、朝方は売り買い交錯で始まったものの、その後は大きく売り優勢に傾いた。きょうから実質新年度入り相場となり、3月期末の配当権利落ち分で日経平均に240円程度の下落圧力が働き、全体の下げを助長した。3月中旬から前日までの直近11営業日で、日経平均は3000円以上の上昇をみせていたこともあり、目先利益確定の動きが表面化している。外国為替市場で足もと急速にドル安・円高方向に押し戻されていることも輸出セクターにはマイナス材料となっている。
ロシア国防省は29日、ウクライナの首都キエフなどで軍事活動を縮小すると発表した。停戦合意への期待が膨らみ、資源インフレ圧力が後退。「配当権利落ち日でもあり、高配当の資源関連株に利益確定の売りを出す良いタイミングとなった」といい、住友鉱や総合商社株が下げた。
保険株や銀行株も下げた。日銀が国債買い入れオペ(公開市場操作)について、増額と予定外の長期債・超長期債の追加を発表したことで長期金利が低下し、運用収益の悪化懸念が出た。このところ為替市場で進んでいた円安・ドル高の動きが一服し、輸出関連株を中心に相場の重荷となった。
市場からは「朝方は頑張ったが、さすがに調子よく上がってきただけに利益確定売りが出やすい。配当落ち分を顧慮すると、大きく下がっている訳ではないが、配当再投資に絡む先物買いもきょうでほぼ終了し、期末の需給要因がなくなり、目先調整入りの可能性がある」(中堅証券)との声が聞かれた。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆6523億円、売買高は6億7215万株だった。JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も下落した。東証1部の値下がり銘柄数は1656で全体の76%。値上がりは478銘柄、変わらずは35銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は海運業、鉄鋼、石油・石炭製品など31業種が下落。空運業とゴム製品は上昇した。
個別では、日本郵船が断トツの売買代金をこなしながらも、配当権利落ちの関係で大きく株価水準を切り下げたほか、任天堂の下げも目立った。東京エレクトロンも安い。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも値を下げた。JFE、日ハム、KDDI、出光興産も下げた。明和産業の下落も目立つ。
半面、レーザーテックが高く、ソフトバンクグループもしっかり。三井ハイテックも上値追いを続けている。ピアラがストップ高に買われ、ギフティも大幅高。東電HD、板硝子、資生堂は上げた。
東証2部株価指数は前日比54.49ポイント安の7225.14ポイントと反落した。出来高は5527万株。値上がり銘柄数は130、値下がり銘柄数は253となった。
個別ではテクノ菱和、フジ日本精糖、丸藤シートパイル、ナラサキ産業、北陸ガスなど7銘柄が昨年来安値を更新。ナガホリ、エヌリンクス、フレンドリー、ベリテ、YE DIGITALが売られた。
一方、守谷輸送機工業、タカトリが昨年来高値を更新。パレモ・ホールディングス、AIメカテック、川上塗料、コメ兵ホールディングス、クシムが買われた。
