10日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比526ドル47セント(1.5%)安の3万5241ドル59セントで終えた。
米労働省が朝方発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.5%上昇し、伸びは1982年2月以来約40年ぶりの高水準となった。上昇率は前月の7.0%から加速。市場予想(7.3%)も上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な金融引き締めへの警戒感が強まった。
インフレ高止まり懸念が再燃する中、米債券市場では長期金利の指標である10年債利回りが2%台に上昇。高PER(株価収益率)のハイテク株は割高感が増し、売りが膨らんだ。
金利上昇局面で売られやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が下げた。ソフトウエアのマイクロソフトが3%安、スマートフォンのアップルや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは2%安で終えた。積極的な利上げが米経済を冷やすとの見方から景気敏感株も売られ、機械のハネウェル・インターナショナルや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が下げた。
インフレ加速を受け、米セントルイス連銀のブラード総裁は10日、米ブルームバーグ通信のインタビューで「7月前半までに合計1.0%の利上げを支持する」と述べた。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げを念頭に置いているとみられ、1度に0.5%利上げすれば2000年5月以来、22年ぶりとなる。
米金利先物の値動きから市場が織り込む利上げ確率を算出する「フェドウオッチ」によると、FRBが3月に0.5%の利上げをする確率は90%を超えた。インフレ加速と利上げを織り込み、米長期金利は19年8月以来となる2.05%(前日終値は1.94%)に一時上昇した。
市場では「インフレのピークアウトを確認するまでは株には積極的な買いが入りにくい」との声があった。
この日の株式相場は全面安の展開となり、業種別では、不動産やIT、公益の下げが目立った。一般消費財や資本財、ヘルスケアも軟調だった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日比304.732ポイント(2.1%)安の1万4185.641で終えた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やエヌビディアなど半導体株の下げが目立った。電気自動車のテスラも売られた。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,241.59-526.47
S&P500種
4,504.08-83.10
ナスダック
14,185.641-304.732
FTウィルシャー5000
46,035.04-829.45
NY金(ドル/トロイオンス)
1,837.40+0.80
NY原油(ドル/バレル)
90.04+0.16
円・ドル
116.04 – 116.05+0.06
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は反落した。3月物は前日比440円安の2万7385円で引け、10日の大取終値を315円下回った。10日発表の米消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高い伸び率を示し、利上げ加速を警戒する売りが出た。
市場には3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げが決まるとの見方が広がった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27385 ( -315 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27395 ( -305 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ28.98ポイント(0.38%)高の7672.40と、約2年ぶりの高値で引けた。
1月の米消費者物価が約40年ぶりの伸びとなり、米国株が下落して始まったことで欧州株も一時は軒並み下落。その後、英国株とドイツ株はプラス圏に浮上し
FTSE100は指数構成銘柄の5割超が上昇。商品相場の上昇で産銅大手アントファガスタ(4.2%高)など資源関連株が堅調だったほか、この日の決算発表を好感し製薬大手アストラゼネカ(3.4%高)も買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は小幅ながら4日続伸し、前日比8.43ポイント(0.05%)高の1万5490.44で終えた。自動車や素材など景気敏感株が買われる一方、金利上昇への懸念からハイテク株が売られ、上昇幅は限られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.41%安の7101.55だった。
