NYダウ続落503ドル安 ウクライナ情勢緊迫でリスク回避

 

11日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比503ドル53セント(1.4%)安の3万4738ドル06セントで終えた。
 
前日発表された1月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る大幅な伸びを示し、投資家の間でFRBがインフレ高止まりに対処するため金融引き締めを加速させることへの懸念が強まった。CMEグループのフェドウオッチによれば、市場ではFRBが3月に0.50%の大幅な利上げに踏み切るとの見方が一時多数派になった。
株価は序盤、前日の大幅安の反動もあり、一時プラス圏で推移した。ただ、インフレ長期化と金融引き締め加速への警戒感は根強く、次第にマイナス圏に沈んだ。
 
ミシガン大が午前に発表した2月の米消費者景況感指数(暫定値)が10年3カ月ぶりの低水準に落ち込んだことも、投資家心理を圧迫した。
 
午後に入り、ロシアのウクライナ侵攻への警戒が強まり、リスク回避の売りが幅広い銘柄に広がった。インフレ加速を背景に米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐとの見方も相場の重荷だった。
 
ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は11日午後に記者会見を開き「ウクライナ国境のロシア軍が増えており、ロシアのプーチン大統領が命令すればいつでも侵攻が始まる可能性がある」と指摘した。米国と英国はウクライナにいる自国民に対して退避を促した。地政学リスクの高まりが株売りを促した。
 
幅広い銘柄が売られる中、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフト、スマートフォンのアップルなどハイテク株への売りが目立つ。航空機のボーイングや機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株も安い。
 
ウクライナ情勢を受けて相対的に安全資産とされる米国債が買われ、10年物国債利回りは一時1.91%と前日終値から0.12%低下した。だが、インフレ加速を背景にFRBの金融引き締めへの警戒はくすぶっており、株式相場の重荷になった。ゴールドマン・サックスは10日、FRBが年内に0.25%の利上げを7回実施すると予想、従来の5回から引き上げた。
 
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数は前日比14%高い27.3に上昇し、不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回った。一時は30.9に上昇した。
 
半面、ウクライナ情勢の緊迫化で米原油相場が上昇し、石油のシェブロンは2%上昇した。ダウ平均の採用銘柄ではないが、ロッキード・マーチンやゼネラル・ダイナミクスなど軍需株も総じて買われた。
 
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比394.487ポイント(2.8%)安の1万3791.154で終えた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が10%安、エヌビディアが7%安と半導体株の下げが目立った。電気自動車のテスラとネット通販のアマゾン・ドット・コムも下落した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,738.06-503.53
S&P500種
4,418.64-85.44
ナスダック
13,791.154-394.487
FTウィルシャー5000
45,188.45-846.59
NY金(ドル/トロイオンス)
1,842.10+4.70
NY原油(ドル/バレル)
93.90+4.02
円・ドル
115.27 – 115.29-0.71
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

11日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前日比455円安の2万6930円で引け、10日の大取終値を770円下回った。
数人の連邦準備制度理事会(FRB)高官が大幅な利上げを支持しない考えを示したため、寄り付き後、上昇。その後、発表された2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想を下回ったため景気回復懸念に下落に転じた。加えて、米国政府が早くて今週末にもロシアがウクライナ侵攻に踏み切る可能性を警告したため警戒感から売りが加速。終日軟調に推移した。
 
 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26930 ( -770 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26945 ( -755 )
※( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

11日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日に比べ11.38ポイント(0.15%)安の7661.02で引けた。週末を前に利益確定の売りが優勢だった。前日に買われていた医薬品や資源株が売られた。資本財にも売りが出た。
FTSE100は指数構成銘柄の約7割が下落。保険大手プルーデンシャル(2.4%安)や金融大手スタンダード・チャータード(1.4%安)など金融・保険株の下げが目立った。
 

■ドイツ・フランクフルト株価指数

11日のドイツ株価指数(DAX)は5営業日ぶりに反落し、前日比65.32ポイント(0.42%)安の1万5425.12で終えた。前日の1月の米消費者物価指数(CPI)の発表を受けて米長期金利が上昇し、運用リスクを回避する目的でドイツ株への売りが優勢となった。ヘルスケアや素材、テクノロジー株が売られた。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.27%安の7011.60だった。

 

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