NYダウ反落54ドル安、ウクライナ情勢に警戒

16日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比54ドル57セント(0.2%)安の3万4934ドル27セントで終えた。
 
ロシアは15日、ウクライナ国境付近に展開していたとみられる軍部隊の一部撤収を発表した。ただ、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は16日、「今のところ現場に緊張緩和の兆候は見られない。部隊や装備の撤収はない」と指摘。米欧はロシア軍への警戒を崩しておらず、予断を許さない状況が投資家心理を圧迫した。
 
米商務省が朝方発表した1月の小売売上高は前月比3.8%増と、2カ月ぶりにプラスに転換。伸びは市場予想(2.0%)を大きく上回った。インフレが高止まりする中、個人消費の底堅さが示され、過度の景気減速懸念は後退したものの、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めへの警戒感が再燃し、相場を下押しした。
 
ウクライナ情勢への警戒が続き、一時は346ドル安となったが、午後に下げ幅を縮めた。午後2時に米連邦準備理事会(FRB)が1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表。金融引き締めの加速を示唆する新たな情報がなく、買い直された。
 
FOMC議事要旨の公表後は下げ渋り、小幅高に転じる場面もあった。議事要旨では大半の参加者が利上げが前回の局面より「速いペースになる可能性が高い」と指摘していたことがわかった。ただ、FOMC後のパウエル議長の記者会見に沿った内容で新味はなく、金融引き締めへの過度な警戒感が和らいだ。
 
個別では顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが安い。金融のゴールドマン・サックスも売りに押された。工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など景気敏感株の一角も下げた。
 
一方、16日発表の1月の米小売売上高が高い伸びとなり、消費の底堅さが意識されたとして映画・娯楽のウォルト・ディズニーやスポーツ用品のナイキなど消費関連株が買われた。日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などディフェンシブ株の一角も上げた。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比15.662ポイント(0.1%)安の1万4124.095で終えた。業績見通しが慎重と受け止められたネット通販支援のショッピファイが16%下げた。決済サービスのペイパル・ホールディングスも4%安と下げが目立った。一方、ネット通販のアマゾン・ドット・コムや検索サイトのアルファベットは高い。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,934.27-54.57
S&P500種
4,475.01+3.94
ナスダック
14,124.095-15.662
FTウィルシャー5000
45,811.41+19.10
NY金(ドル/トロイオンス)
1,856.20-13.20
NY原油(ドル/バレル)
90.62-1.45
円・ドル
115.44 – 115.49-0.20
 


【シカゴ日本株先物概況】

16日のシカゴ日経平均先物は小幅に続伸した。3月物は前日比15円高の2万7460円で引け、16日の大取終値を30円上回った。

16日に公表した1月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を受け、金融引き締めへの過度な警戒が薄れた。市場関係者が引き続きウクライナ情勢を注視するなか、上げ幅は限られた。金利の低下が好感され、引けにかけて下げ幅を大幅に縮小した。
 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27460 ( +30 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27470 ( +40 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7603.78(-5.14)
16日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反落した。前日に比べ5.14ポイント(0.07%)安の7603.78で引けた。1月の英消費者物価指数(CPI)の伸び率は市場予想を上回り、イングランド銀行(英中央銀行)の利上げ継続を促す内容だった。物価上昇と金融引き締めによる景気への悪影響を懸念した売りが優勢だった。
個別銘柄を見ると、郵便大手ロイヤル・メールが2.7%安と軟調。酒造大手ディアジオも2.0%安とさえなかった。半面、石油大手シェルが2.0%高、産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナルは5%超の大幅高となった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15370.30(-42.41)
16日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比42.41ポイント(0.28%)安の1万5370.30で終えた。ウクライナ情勢を巡って、ロシア軍の一部撤収表明に対し、米国や北大西洋条約機構(NATO)から懐疑的な見方が出るなど緊張状態が続き、運用リスクを取りにくかった。個別では自動車部品大手コンチネンタルが4.7%安と売られた。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6964.98(-14.99)
フランスCAC40種指数は0.21%安となった。
ウクライナ情勢をめぐって、ロシア軍の一部撤収に対する北大西洋条約機構(NATO)諸国の慎重な反応を背景に、株式相場は上値が重かった
 

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