10日午前の日経平均株価は続落し、前引けは前日比115円63銭安の2万8609円84銭だった。
前日のNYダウは横ばいだったが、ナスダック指数が大幅安となったことを受け、東京市場でも半導体関連などハイテク株が軟調に推移している。日経平均株価は一時240円を超える下落となる場面があった。今晩は米11月消費者物価指数(CPI)が発表されることもあり、やや様子見気分も出ている。
主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落し、東京株式市場でもアドテストなど半導体関連銘柄の一角に売りが出た。業種別ではサービスや空運の売りも目立った。
岸田文雄首相が意欲を示してきた金融所得課税について、10日に正式に決定する2022年度与党税制改正大綱に「総合的な検討」を明記する方針が伝わっている。
「(首相が)トーンを落としていた金融所得課税の強化が再び意識されることは、投資家心理にとってネガティブ」とみていた。
一方、相場全体の底堅さも目立った。市場では「日本株は米国株などと比べ、PER(株価収益率)などの割安感が強い」との声が聞かれる。新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」への過度な警戒感が後退していることも下支え要因となった。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)もそろって続落した。
株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(SQ)算出に伴う現物株売買の影響で、前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆5574億円、売買高は6億3253万株と活況だった。東証1部の値下がり銘柄数は1390と、全体の約6割超を占めた。値上がりは674、変わらずは119だった。
業種別株価指数(33業種)はサービス業、精密機器、空運業などが下落。上昇は鉱業、金属製品、その他製品など。
個別では、リクルートHDが4%の下落。凸版印による同社株の売出し観測が報じられている。子会社による「GoToトラベル」補助金の不正受給の疑いを公表したH.I.S.は9%超の下落。テルモが下落した。ソフトバンクグループ、トヨタ自動車が安く、レーザーテックや東京エレクトロン、アドバンテスト、エムスリー、オリンパスも安かった。
一方、任天堂やキーエンスが高く、商船三井や川崎汽船はしっかり、ダイキン、オムロンや村田製も上昇した。前日売られた日立は2%超の上昇。凸版印は投資有価証券売却益の計上を発表して買われ、業績上方修正のアクセルや印企業への追加出資を発表したGunosyが東証1部上昇率上位に顔を出している。
東証2部株価指数は前日比23.26ポイント安の7507.35ポイントと4日ぶり反落した。
値上がり銘柄数は136、値下がり銘柄数は249となった。
個別では、ギグワークス、日本食品化工、アゼアス、サンセイ、リヒトラブなど7銘柄が年初来安値を更新。東京ソワール、マーチャント・バンカーズ、光陽社、オーミケンシ、ミズホメディーが売られた。
一方、エスティックが一時ストップ高と値を飛ばした。理研コランダム、日本伸銅、フジコピアンなど4銘柄は年初来高値を更新。リミックスポイント、パレモ・ホールディングス、ウインテスト、日本精機、カワセコンピュータサプライが買われた。
