14日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比106ドル77セント(0.3%)安の3万5544ドル18セントで終えた。
新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大に対する警戒感が広がる中、続落した。
オミクロン型に関しては、世界保健機関(WHO)がこの日、「これまでの変異株で見られなかった速さで広がっている」との見解を表明。英国では初の死者が確認され、近く「主流のウイルス」になるとみられており、世界的な市中感染の拡大が懸念されている。
また、朝方発表された11月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.8%の上昇と、市場予想(0.5%)を上回った。前年同月比では9.6%の上昇で、伸び率は前月に続き、比較可能な2010年以降で最大を更新。インフレ懸念を強める内容となった。
ハイテク株を中心に売りを促した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を15日に控え、押し目買いの動きも限られた。
市場では「テーパリング(量的緩和の縮小)の加速を促す内容だ」(ウィンダム・ファイナンシャル・サービスのポール・メンデルソーン氏)との声が聞かれた。
PPIを受け、米長期金利は前日終値(1.41%)を上回って推移した。長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が売られ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが4%安、ソフトウエアのマイクロソフトが3%安となった。2銘柄でダウ平均を140ドルほど押し下げた。
ハイテク株以外では機械のハネウェル・インターナショナルや航空機のボーイングといった景気敏感株の一角も売られた。スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株も安い。ダウ平均の下げ幅は一時200ドルを超えた。
FOMCではテーパリングの加速を決める公算が大きい。参加者の政策金利見通し(ドットチャート)で来年以降の利上げ回数の予想が引き上げられる可能性も高い。パウエルFRB議長の記者会見とともに内容を見極めたい雰囲気が強く、買いは手控えられた。
その中で長期金利の上昇を受け、金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースが買われた。製薬のメルクやバイオ製薬のアムジェンといったヘルスケア株も高い。
ナスダック総合株価指数も続落し、前日比175.642ポイント(1.1%)安の1万5237.640で終えた。主力株が軒並み下げた。アナリストが投資判断を引き下げたソフトのアドビは7%安と下げが目立った。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の保有株の追加売却が明らかになった電気自動車のテスラは続落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,544.18-106.77
S&P500種
4,634.09-34.88
ナスダック
15,237.640-175.642
NY金(ドル/トロイオンス)
1,772.30-16.00
NY原油(ドル/バレル)
70.29-1.00
円・ドル
113.73 – 113.76+0.02
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前日比155円安の2万8270円で引け、14日の大取終値を70円下回った。14日発表の11月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びを示し、利上げ時期の前倒しを警戒する売りに押された。また、世界保健機関(WHO)がオミクロン変異型感染の速さを警告すると、さらに売りに拍車がかかり、終日軟調に推移した。
市場は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表に注目している。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28270 ( -70 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28355 ( +15 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7218.64(-12.80)
14日のFTSE100種総合株価指数は5日続落した。前日の終値に比べ12.80ポイント(0.18%)安の7218.64で引けた。
米国や欧州の金融政策発表を控え、様子見ムードが強まる中、売りが優勢となった。指数構成銘柄のほぼ6割が値下がりした。
個別銘柄では、レントキル・イニシャルは12%超下げた。米競合社に対する買収発表で早朝に最高値を付け、その後は利益確定の売りが進行した。通信のBTグループも安かった。14日に筆頭株主がBT株を買い増し、英当局が今後の買収に向けた動きに注視しているとの報道を受け、経営の先行き不透明感を懸念した売りが膨らんだ。
一方、値ごろ感から前日に売られた銀行株や石油株は買い戻された。鉱業株も上昇した。ネット専業スーパーのオカド・グループの上げが目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15453.56(-168.16)
14日のドイツ株式指数(DAX)は5日続落した。終値は前日から大幅に下げ、168.16ポイント(1.08%)安の1万5453.56だった。米株安を反映して、引けにかけて売りが加速した。
個別では、自動車のダイムラーの下げが目立った。料理宅配大手のデリバリーヒーローと食材・レシピ宅配のハローフレッシュも安かった。両銘柄は先週から売りが続いている。
前日に下げが大きかった航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズは高かった。ドイツ銀行も上昇した。独長期金利の上昇で利ざや改善を期待した買いが入った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6895.31(-47.60)
フランスの株価指数CAC40は下げた。
