10日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比216ドル30セント(0.6%)高の3万5970ドル99セントで終えた。
朝方発表された11月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.8%上昇と、新型コロナウイルス禍に伴う供給制約などを背景に、約39年ぶりの大幅な伸びとなった。前月比では0.8%上昇と、市場予想の0.7%上昇を小幅に上回ったため、株価指数先物の売りを誘った。ただ、売り一巡後は買い優勢に転じ、ダウ平均は終日ほぼプラス圏で推移した。CPIが一部の投資家が懸念したほどの上昇を示さなかったことから、インフレ加速への過度な懸念が和らいだ。日系証券関係者はCPIについて、「現在がインフレ加速のピークにあるとの市場の認識に沿う内容だった」と指摘した。
長期金利が低下し、相対的な割高感が和らいだハイテク株への買いが目立った。
S&P500種株価指数も反発し、前日比44.57ポイント(1.0%)高の4712.02で終えた。11月18日以来となる過去最高値を更新した。
米長期金利は前日終値(1.50%)を下回って推移した。長期金利が低下すると買われやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が買われ、ダウ平均上昇をけん引した。ソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルがともに3%高となり、アップルは上場来高値を更新した。
今週前半の上昇相場で出遅れ感があったディフェンシブ株も買われ、飲料のコカ・コーラや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が上昇。消費関連や景気敏感株の一角にも買いが入り、小売りのウォルマートや機械のハネウェル・インターナショナルは2%高となった。
ダウ平均の構成銘柄以外では、前日夕に発表した決算が市場予想を上回ったIT(情報技術)のオラクルが16%高と急伸したのが目を引いた。
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日比1割強低い18.69と、11月下旬以来の水準に低下。不安心理が高まった状態とされる20も下回った。
ナスダック総合株価指数も反発し、前日比113.231ポイント(0.7%)高の1万5630.601で終えた。前日夕に発表した決算が市場予想を上回った半導体のブロードコムが8%高となった。前日に大幅安となった電気自動車のテスラは反発した。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,970.99+216.30
S&P500種
4,712.02+44.57
ナスダック
15,630.601+113.231
NY金(ドル/トロイオンス)
1,784.80+8.10
NY原油(ドル/バレル)
71.96+1.02
円・ドル
113.41 – 113.43-0.07
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は小幅に下げた。3月物は前日比10円安の2万8560円で引け、10日の大取終値を180円上回った。米株の動きをにらむ展開になった。
NYダウは、良好な企業決算を好感し寄り付き後、上昇した。11月消費者物価指数(CPI)が39年ぶり最大の伸びを記録したため一時下落に転じる局面もあったが、想定内で金利が低下したほか、疾病管理予防センター(CDC)が初期の調査で、オミクロン株によるワクチン接種完了者に対する影響は緩やかとの結果を発表したため上昇に転じた。引けにかけて上げ幅を拡大した。米株が上げ、日経平均先物の下値を支えた。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28560 ( +180 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28655 ( +275 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日のロンドン株式市場で、FTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日の終値に比べ29.48ポイント(0.40%)安の7291.78で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
英株価指数は上値の重い展開となった。インフレ懸念に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による規制強化にも懸念が広がった。
早朝に発表された10月の英国内総生産(GDP)が軟調で、経済の減速を懸念した売りが優勢だった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大に伴うイングランドの行動規制の強化も引き続き投資家心理の重荷になった。
前日まで上昇が続いたアストラゼネカなど医薬品株や、サイバーセキュリティーのダークトレースが利益確定の売りで下落した。午前は買われていた鉱業株と石油株は売りに転じ、銀行株も下げた。
半面、景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄のブリティッシュ・アメリカン・タバコは高かった。同業のインペリアル・ブランズも上げた。製薬大手グラクソ・スミスクラインも0.9%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日と比べて15.95ポイント(0.10%)安の1万5623.31だった。
午後に米株高に歩調を合わせ上昇する局面もあったが、引けにかけてふたたび売りが優勢になった。
個別では、食材・レシピ宅配のハローフレッシュとファッション通販のザランドが安かった。それぞれアナリストが目標株価を引き下げたことが材料になった。自動車のダイムラーは高かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)6,991.68 -16.55
