15日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比236ドル82セント(0.7%)高の3万4814ドル39セントで終えた。前日に300ドル近く下げて約2カ月ぶりの安値圏にあったため、最近下げが目立っていた景気敏感株を中心に値ごろ感からの買いが入った。米景気の底堅さを示す経済指標の発表も投資家心理の改善につながった。
米原油先物相場が大幅高となったことをはやしてエネルギー株が買われ、相場全体をけん引した。原油先物は、在庫が大きく減ったことが買い材料となり、前日清算値(終値に相当)から約3%上昇した。
また、ここ最近の株価下落を受けて値頃感が意識され、エネルギー株以外にも幅広い銘柄に買いが入った。株価はこのところ、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の流行で景気回復ペースが鈍ることへの懸念から、売られる展開が続いていた。
この日発表された経済指標も株価の追い風。米労働省発表の8月の輸入物価指数は、市場の上昇予想に反し、前月比0.3%低下した。低下は10カ月ぶりで、インフレが長期化することへの懸念が和らいだ。また、朝方発表の9月のニューヨーク連銀製造業景況指数が34.3と8月の18.3から改善し、市場予想(17.5)を上回った。「製造業は引き続き堅調」(オックスフォード・エコノミクス)との見方が強まった。コロナの感染拡大ペース鈍化が指数の大幅改善につながったもようだ。
長期金利の指標となる米10年物国債利回りは一時前日比0.04%高い(債券価格は安い)1.32%まで上昇した。市場では長期金利が一種の景気指標として意識されており、上昇で投資家心理が改善した。銀行のJPモルガン・チェースと保険のトラベラーズが高い。
景気敏感株ではクレジットカードのアメリカン・エキスプレスや建機のキャタピラー、航空機のボーイングの上昇が目立った。原油高を受け、石油のシェブロンも買われた。増配と自社株買いを発表したソフトウエアのマイクロソフトが上昇した。前日は新型「iPhone(アイフォーン)」への評価が高まらず売られたアップルも反発した。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反発し、前日比123.771ポイント(0.8%)高の1万5161.530で終えた。マイクロソフトのほか、ネット検索のアルファベットとネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力株が総じて高い。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,814.39+236.82
S&P500種
4,480.70+37.65
ナスダック
15,161.530+123.771
NY金(ドル/トロイオンス)
1,794.80-12.30
NY原油(ドル/バレル)
72.65+0.04
円・ドル
109.35 – 109.37-0.08
【シカゴ日本株先物概況】
15日のシカゴ日経平均先物は反発した。
12月物は前日比280円高の3万0415円で引け、15日の大取終値を65円上回った。
NYダウは、新型コロナウイルスのデルタ変異株流行や財政支援の縮小に伴う景気回復の失速懸念が根強く、寄り付き後、小幅下落。しかし、9月NY連銀製造業景気指数が予想のほぼ2倍に上昇したほか、原油高でエネルギー関連株が上昇すると警戒感が緩和し、上昇に転じた。引けにかけて上げ幅をさらに拡大した。米株の反発を手掛かりに上げた。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
30415 ( +65 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
30460 ( +110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7016.49(-17.57)
15日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日の終値に比べ17.57ポイント(0.3%)安の7016.49で引けた。
他の欧州主要国の株価指数も軟調だった。構成銘柄の6割が下落した。
引けにかけて売りが強まった。15日早朝に発表された8月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.2%上昇した。9年ぶりの高い伸び率となり、英イングランド銀行(中央銀行)が金融政策の正常化を進めやすくなるとの見方から買いが入りにくかった。
主な個別銘柄では、料理宅配のジャスト・イート・テイクアウェー・ドット・コムが安かった。米アマゾン・ドット・コムが出資する同業の英デリバルーとの競争激化を懸念した売りが広がった。ファッションのバーバリー・グループの下げも目立った。15日発表の中国の経済指標が低調となり、中国景気の減速による売り上げの落ち込みが意識された。航空株も売られた。
半面、原油と銅相場の上昇を受けて石油株と資源株は上昇した。石油大手BPが3.1%高と堅調。同ロイヤル・ダッチ・シェルA株(1.8%高)、B株(1.6%高)もともに締まった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15616.00(-106.99)
15日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて106.99ポイント安の1万5616.00だった。引けにかけて下げ幅を広げた。
個別では、アディダスや透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアの下げが目立った。自動車のBMWは高かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6583.62(-69.35)
