30日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比546ドル80セント安の3万3843ドル92セントで終えた。買い先行で始まったがほどなく売りに押され、午後にかけて下げ幅を拡大した。米連邦債務の上限問題やサプライチェーン(供給網)の混乱、インフレ加速など悪材料がくすぶっており、市場心理の重荷となった。四半期末とあって、手じまい売りも出やすかった。
ダウ平均は9月月間では4.3%安で終えた。月間で下げるのは6月以来で、下落率は昨年10月以来の大きさとなった。
米上院はこの日、12月3日までのつなぎ予算案を可決した。下院で承認後、バイデン大統領が署名して成立し、政府機関の一部閉鎖は回避される見通しとなった。
ただ、米連邦政府債務の上限引き上げ問題は、議会与野党の対立で解決のめどが立っていない。米国債がデフォルト(債務不履行)に陥るリスクは残っており、株価の重しとなっている。与野党の対立が続く中、上院で可決済みのインフラ投資法案の成立にも不透明感が強まり、売りを誘ったとの声もあった。
新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした供給網の混乱が続き、10月に発表が本格化する2021年7~9月期決算の下振れが警戒されている。30日は年末商戦にかけて商品の仕入れが停滞するとの見方から、アパレルや百貨店など幅広い小売り株に売りが広がった。ダウ平均の構成銘柄ではドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスとホームセンターのホーム・デポが3%前後下げた。
資本財株が売られ、建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、航空機のボーイング、化学のダウへの売りが目立った。
高水準のインフレが続くとの見方も根強く、米長期金利の上昇も株売りを促した。米長期金利は一時1.55%まで上昇し、今週に付けた3カ月半ぶりの高水準(1.56%)に近づいた。金利が上昇するとハイテクやバイオなど高PER(株価収益率)銘柄は割高感が意識されやすい。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトは下げて終えた。
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は一時前日比10%高い24台後半に上昇した。不安心理が高まった状態とされる20を上回り、投資家の先安懸念を示した。
ナスダック総合株価指数は5日続落した。前日比63.859ポイント(0.4%)安の1万4448.582で終えた。9月月間では5.3%安となった。4カ月ぶりの下落となり、下落率は昨年3月以来の大きさとなった。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,843.92-546.80
S&P500種
4,307.54-51.92
ナスダック
14,448.582-63.859
NY金(ドル/トロイオンス)
1,757.00+34.10
NY原油(ドル/バレル)
75.12+0.29
円・ドル
111.27 – 111.30-0.60
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は反落した。
12月物は前日比400円安の2万9305円で引け、30日の大取終値を155円下回った。30日の米株式市場で米政府の債務上限問題などを背景に主要株価指数が大幅反落した。日経平均先物に売りが波及した。円相場の反発も弱材料になった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
29305 ( -375 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
29350 ( -330 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7086.42(-21.74)
30日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ21.74ポイント(0.3%)安の7086.42で引けた。上がって始まったが、午後には下落に転じた。構成銘柄の7割近くが下落した。
個別銘柄では、たばこ株の下落が株価指数を押し下げた。中でも、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は5%近く下落した。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)も大幅安だった。
半面、製薬大手アストラゼネカは1.4%高と締まり、鉱業大手アングロ・アメリカン(2.6%高)、ロシア鉄鋼大手エブラズ(3.1%高)などの資源株は堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15260.69(-104.58)
30日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて104.58ポイント(0.7%)安の1万5260.69だった。上がって始まったが買いの勢いは続かず、その後下落に転じた。
個別では、電力のRWEと不動産のボノビアの下落が目立った。医療機器のザルトリウスは買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6520.01(-40.79)
