4日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比323ドル73セント安の3万4792ドル67セントで終えた。
取引開始前に発表された民間の米雇用指標が市場予想を大幅に下回り、雇用回復の遅れが警戒された。米長期金利の低下も投資家に景気減速を意識させ、景気敏感株が売られた。
米民間雇用サービス会社ADPが朝方発表した7月の全米雇用報告では、非農業部門の民間就業者数が前月比33万人増にとどまり、市場予想を大幅に下回った。
米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が長期化するとの見方につながり、米長期金利は一時前日比0.05%低い1.12%と2週間ぶりの水準に低下した。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)が米国でも拡大しており、長期金利低下は米景気懸念を反映しているとの見方がある。雇用回復のペースが鈍化し、景気減速への懸念が強まった。
取引開始後に発表された7月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が64.1と過去最高を記録し、長期金利は午前中に1.2%台まで急上昇する場面があった。ただ、金利の上昇は続かず、前日終値の水準を下回って推移する場面が多かった。米国株は引けにかけて売りの勢いが強まり、ダウ平均はこの日の安値圏で終えた。
S&P500種株価指数が3日に過去最高値を更新し、ダウ平均も高値圏で推移している。利益確定や持ち高調整の売りも出やすかった。
個別では景気敏感株の下げが目立ち、化学のダウ、建機のキャタピラー、工業製品・事務用品のスリーエムが2%安。原油安で石油のシェブロンも売られた。JPモルガン・チェースなど金融株も幅広い銘柄が下げた。決算発表で通期予想を据え置いたバイオ製薬のアムジェンが6%あまり下げ、1銘柄でダウ平均を100ドル強押し下げた。
一方、長期金利の低下で相対的な割高感が薄れるとして、高PER(株価収益率)の主力ハイテク株の一角には買いが入った。ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比19.238ポイント(0.1%)高の1万4780.533で終えた。
交流サイト(SNS)のフェイスブックと動画配信のネットフリックスが上昇。半導体株も総じて買われ、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は6%高、エヌビディアは2%高となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,792.67-323.73
S&P500種
4,402.66-20.49
ナスダック
14,780.533+19.238
NY金(ドル/トロイオンス)
1,814.50+0.40
NY原油(ドル/バレル)
67.98-0.17
円・ドル
109.49 – 109.53+0.39
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は反落した。
9月物は前日比150円安の2万7520円で引け、4日の大取終値を70円下回った。
NYダウは、朝方発表の民間の米雇用指標が市場予想を大幅に下回り、景気減速への警戒感から売りが先行した。その後は米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した7月の非製造業景況感指数が市場予想を大きく上回り、下げ幅を縮めた。
その後、連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が2022年末までに利上げの準備が整うとの見解を示すと、金利の上昇を警戒しさらなる売りに拍車がかかった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27520 ( -70 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27540 ( -50 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7123.86(+18.14)
4日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日の終値に比べ18.14ポイント(0.3%)高の7123.86で引けた。構成銘柄の約6割が上昇した。
特段の手掛かり材料はなかったが、決算発表シーズンとあって、業績好調な銘柄を物色する動きが広がった。5日に英イングランド銀行の金融政策委員会を控えているが、早期の金融引き締め観測はやや後退している。
世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大しており、景気回復の遅れが懸念され上げ幅は限られた。金融株が買われ、株価指数を押し上げた。
個別銘柄では、生保のリーガル・アンド・ゼネラル(L&G)は2021年1~6月期の営業利益が市場予想を上回り買われた。住宅建設のテイラー・ウィンピーも21年12月期通期の利益見通しを引き上げたことが好感され上昇した。ギャンブル事業のエンテインは6%超の上昇と目立った。
半面、原油安を背景に石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルがA株(1.1%安)、B株(0.7%安)ともに軟調。同BPも1%安となった。教育・メディア大手ピアソンが3.6%安とさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15692.13(+137.05)
4日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日と比べて137.05ポイント高の1万5692.13だった。
個別では、半導体のインフィニオンテクノロジーズは4%超上げた。複数のアナリストが株価目標を引き上げたことが好感された。アディダスも大幅高だった。
一方で2021年4~6月期の受注が減少したエネルギー関連のシーメンス・エナジーは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6746.23(+22.42)
