10日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比162ドル82セント高の3万5264ドル67セントと過去最高値を更新して終えた。
上院はこの日、インフラ整備に5年間で総額約1兆ドル(約110兆円)を充てる法案を賛成多数で可決した。法案の内訳は、予算手当て済みの改修費などを除くと、道路や橋、公共交通機関などに充てる新規分が5500億ドルとなる。
恩恵を受けるとみられる建機のキャタピラーや化学のダウが2%上昇した。米原油先物相場が反発し、石油のシェブロンにも買われた。
米長期金利が上昇し、利ざや拡大の思惑から金融のゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースの上げも目立った。アナリストが来週発表の2021年5~7月期決算の業績予想を引き上げた小売り大手のウォルマートも高い。
ただ、米国を含む世界的な新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大への懸念は続き、ダウ平均は上値が重くなる場面もあった。7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を11日に控え、様子見の投資家も多い。「7月の米雇用統計に続きCPIも市場予想を上回れば、米連邦準備理事会(FRB)のテーパリング(量的緩和の縮小)開始が早まりそうだ」との見方があった。
長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されるハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄は売られやすかった。顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトが下落した。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比72.090ポイント安の1万4788.087で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力株が下げた。調査会社が半導体メモリーの販売価格の低下予想を示し、マイクロン・テクノロジーが大幅安となり、アプライドマテリアルズ(AMAT)など半導体銘柄に売りが及んだ。
S&P500種株価指数は反発し、前日比4.40ポイント高の4436.75と過去最高値を更新して終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,264.67+162.82
S&P500種
4,436.75+4.40
ナスダック
14,788.087-72.090
NY金(ドル/トロイオンス)
1,731.70+5.20
NY原油(ドル/バレル)
68.48+0.1910日 18:03
円・ドル
110.55 – 110.57+0.11
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は小幅に続伸した。
9月物は前日比75円高の2万7965円で引け、10日の大取終値を115円上回った。
上院がインフラ包括法案で合意し、立法化した際、過去数十年で最大の公共投資で回復を強めるとの期待が強まり、寄り付き後、上昇した。原油高が支援したほか景気循環株の買いも再燃し、ダウ平均株価は史上最高値を更新して引けた。一方で新型コロナウイルスの感染拡大への懸念や、米長期金利の上昇を受けたハイテク株の下げが上値を抑えた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27965 ( +115 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27975 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7161.04(+28.74)
10日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日の終値に比べ28.74ポイント高の7161.04で引けた。構成銘柄の6割超が上昇した。
午後に米国株式市場が上昇して始まると英株にも買いが及び、上昇に転じた。売りが先行していた主力の鉱業株が買い戻され、相場を押し上げた。
個別銘柄では、ブックメーカー(賭け屋)のフラッター・エンターテインメントが7%超高と大幅に上昇した。早朝に発表した中間決算では米国事業が好調で、2023年には同事業が黒字化するとの見通しを示したことを好感した。原油相場が大幅高となり、石油株にも買いが入った。銀行株の一角も買い戻された。
一方、医薬品株や金関連株は売りが目立った。投資関連のM&Gが3.1%安、資産運用大手スタンダード・ライフ・アバディーンが2.3%安、衣類小売ネクストが1.6%安と振るわなかった安かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15770.71(+25.30)
10日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日と比べて25.30ポイント高の1万5770.71だった。
個別では、素材メーカーのコベストロや透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアの上げが目立った。ミュンヘン再保険も高かった。通年利益が目標に達するとの自信を示したことを好感した。アディダスや半導体のインフィニオンテクノロジーズなどは下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6820.21(+7.03)
