16日午前の日経平均株価は続落し、前週末比536円03銭安の2万7441円12銭で終えた。
新型コロナウイルス変異種(デルタ株)の感染拡大が嫌気されたほか、為替相場は1ドル=109円前半へ円高が進行したことが株価の下落要因となった。アフガニスタンの政情不安も地政学リスクの高まりとして警戒された。
前週末13日に発表された8月の米消費者態度指数は前月を大きく下回り、市場予想も下回った。日本でも新型コロナの新規感染者数の増勢に歯止めがかからず、重症者数は連日で過去最多を更新している。東京や大阪など6都府県を対象とする緊急事態宣言の対象地域の拡大や期限延長の観測もあって、投資家のリスク回避ムードが強まっている。
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが首都カブールを掌握し、アフガン政権が事実上崩壊したと欧米メディアが報じた。午前に発表された中国の経済統計では工業生産が市場予想を下回るなど、経済拡大ペースに鈍化の兆しも見られる。「国内企業の決算発表が一巡し、地政学リスクの高まりや中国経済の減速といった材料が売りの口実になりやすい」との見方があった。
取引開始前に内閣府が発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整値)は前期比年率で1.3%増と、2四半期ぶりにプラス成長となった。民間予想の中央値(0.6%増)を上回ったが、積極的に取引の材料とする向きは限られた。
市場からは「前週末の米8月消費者マインド指数が市場予想を下回り、投資家心理の重しとなり、きょうは中国経済指標が市場予想に届かず、一段安につながった。押し目買いゾーンではあるが、気持ちがついていけない」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。午前終値は前週末比33.89ポイント安の1922.50だった。JPX日経インデックス400も反落した。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で1兆2171億円、売買高は5億4524万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1888と、全体の8割強を占めた。値上がりは232、変わらずは64だった。
業種別株価指数(33業種)はサービス業、その他金融業、パルプ・紙などが下落。上昇は海運業だけだった。
個別銘柄では、日通は大幅安だった。トヨタ自動車、レーザーテック、ソフトバンクグループ、安川電、ファナックが安く、任天堂やソニーグループ、楽天グループ、リクルートも値を下げた。
半面、日本郵船や川崎汽船、商船三井など海運株が高く荏原、富士フイルムホールディングスやスノーピークが値を飛ばした。
東証2部株価指数は前週末比71.52ポイント安の7581.29ポイントと6日ぶり反落した「。出来高は9096万株。値上がり銘柄数は87、値下がり銘柄数は294となった。
個別では、中小企業ホールディングス、高田工業所、クシム、日本ケアサプライ、ソケッツなど20銘柄が年初来安値を更新。ラオックス、アライドテレシスホールディングス、ウェルス・マネジメント、アジア航測、ウインテストが売られた。
一方、玉井商船がストップ高。小池酸素工業、扶桑電通、大丸エナウィンは一時ストップ高と値を飛ばした。コーアツ工業、日本和装ホールディングス、川上塗料、オリジナル設計、日本精鉱など11銘柄は年初来高値を更新。日本伸銅、栗林商船、兵機海運、ミズホメディー、クレステックが買われた。
