NYダウ続落 量的緩和縮小への警戒

19日のNYダウ工業株30種平均は3日続落した。前日比66ドル57セント安の3万4894ドル12セントで終えた。
前日発表の7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、大半の参加者が、量的緩和の縮小は「年内の開始が適切」とみていることが明らかになった。市場では、早ければ9月のFOMC会合で開始時期を判断するとの見方が広がっている。
景気敏感株への売りが目立った。
 
一方、米労働省が朝方発表した新規の週間失業保険申請件数は、前週比2万9000件減の34万8000件と4週連続で減少。市場予想も下回った。米民間有力調査会社コンファレンス・ボードが発表した7月の景気先行指数も前月比0.9%上昇と、市場予想を上回った。米景気や雇用回復の堅調さを示す統計を受け、ハイテク株やディフェンシブ株は買いが優勢で、ダウ平均は上昇に転じる場面もあった。
 
ダウ平均は前日までの2日間に660ドルあまり下げており、売り一巡後は買いが優勢となり、小幅高に転じる場面もあった。ハイテク株の一角が買われ、ソフトウエアのマイクロソフトは2%高、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは1%高で終えた。前日夕に好決算を発表したネットワーク機器のシスコシステムズは4%上昇した。
 
業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株も底堅く、ダウ平均を下支えした。医療保険のユナイテッドヘルス・グループは3%高、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)と製薬のメルクも高い。
 
ゴールドマン・サックスは18日夕に配布したリポートで、2021年7~9月期の米国の実質国内総生産(GDP)の伸び率を従来の9%から5.5%に引き下げた。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大を理由に挙げており、景気への投資家の警戒感を強めた。
 
ただ、景気敏感株が売られ、クレジットカードのアメリカン・エキスプレス、航空機のボーイング、建機のキャタピラーが安い。JPモルガン・チェースなど金融株も下げた。原油安を嫌気して石油のシェブロンが売られた。ダウ平均の下げ幅は朝方に一時270ドルに広がった。投資家心理を測る指標である米株の変動性指数(VIX)は21.67と、不安心理が高まった状態とされる20を上回って終えた。
 
 
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、前日比15.875ポイント高の1万4541.789で終えた。21年5~7月期の売上高が市場予想を上回った半導体のエヌビディアが大幅高。動画配信サービスのネットフリックスも買われた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,894.12-66.57
S&P500種
4,405.80+5.53
ナスダック
14,541.789+15.875
NY金(ドル/トロイオンス)
1,783.10-1.30
NY原油(ドル/バレル)
63.86-1.60
円・ドル
109.76 – 109.78-0.01
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

19日のシカゴ日経平均先物は続落した。9月物は前日比165円安の2万7250円で引け、19日の大取終値を40円上回った。
連邦準備制度理事会(FRB)が年内に緩和縮小に踏み切る可能性が強まったことが引き続き警戒され、寄り付きから下落。新型コロナウイルスのデルタ変異株流行で世界経済の回復減速への懸念も根強く、ダウは終日軟調に推移した。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27250 ( +40 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27265 ( +55 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7058.86(-110.46)
19日のFTSE100種総合株価指数は大幅に続落した。前日の終値に比べ110.46ポイント(1.5%)安の7058.86で引けた。構成銘柄の8割が下落した。
米連邦準備制度理事会(FRB)の年内の量的緩和縮小観測が強まったことで、景気鈍化懸念からリスク回避姿勢が強まった。日中を通して安値圏で推移した。米国で量的緩和の縮小が早期に実施されるとの観測が相場の下落圧力になった。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染が拡大しているなか、世界景気の回復が遅れるとの懸念も投資家心理の悪化につながった。
銅と原油相場が下落し、主力の鉱業株と石油株が安かった。銀行株も下げた。
 
個別銘柄では、高級ファッションのバーバリー・グループは大幅安で引けた。中国が高所得者への規制強化の考えを示したことから、業績への悪影響を警戒した売りが出た。
半面、料理宅配のジャスト・イート・テイクアウェー・ドット・コムは上昇した。ネット専業スーパーのオカド・グループも連れ高した。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15765.81(-200.16)
19日のドイツ株式指数(DAX)は大幅に反落した。終値は前日と比べて200.16ポイント安の1万5765.81だった。
米国の量的緩和の早期縮小の観測が強まり、株式市場への緩和マネー供給が減るとの見方から欧州各国の株式相場はそろって大幅に下落した。
 
個別では、化学のBASFや自動車株を中心に幅広い銘柄に売りが広がった。医薬・化学大手のメルクは上昇し、電力株にも買いが入った。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6605.89(-164.22)
フランスのCAC40は前日比で2%超安となった。グッチを手掛ける仏ケリングを筆頭に高級ブランド銘柄が安かった。中国が高所得者への規制を強化する方針との報道を嫌気した。
 

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