8月31日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比39ドル11セント安の3万5360ドル73セントで終えた。
株価が史上最高値圏にある中で、この日は相場を動かす材料に乏しく、ダウ平均をはじめ主要株価指数が前日終値を挟んで小動きとなった。週内に8月の米雇用統計の発表を控えており、市場では様子見姿勢も広がっている。
8月の米消費者信頼感指数が市場予想を下回り、米個人消費の伸び鈍化が懸念された。月末とあって、利益確定売りも出やすかった。一方、緩和的な金融環境が当面続くとの見方は投資家心理を支え、ダウ平均の下げ幅は限られた。
午前に発表された8月のコンファレンス・ボード米消費者景気信頼感指数が2月以来の低水準に落ち込んだことは、株価をやや下押した。新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の感染拡大を背景に、同指数は113.8と前月の125.1から大幅低下し、市場予想の124.0も大きく下回った。
8月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も市場予想を下回り、デルタ型の拡大と供給網の混乱の長期化が米景気の回復鈍化につながる可能性が意識された。
S&P500種株価指数は前日まで連日で過去最高値を更新し、月間では7カ月連続の上昇となった。ダウ平均も最高値圏で推移している。月末に加え、3日に発表予定の8月の米雇用統計を控え利益確定や持ち高調整の売りも出やすかった。
ダウ平均ではスポーツ用品のナイキや化学のダウが下げた。原油相場の下落を受け、石油のシェブロンも安い。足元で買いが目立っていたスマートフォンのアップルなど主力ハイテク株の一角も下げた。
ダウ平均は上昇する場面もあった。企業業績の回復基調や低金利環境を背景に米国株への資金流入が続くとの見方は根強い。ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが4%高となるなど、ディフェンシブ株などに買いが入った。8月に入って下落が目立っていたクレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)と航空機のボーイングも上げた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比6.655ポイント安の1万5259.235で終えた。8月30日夕に決算と併せて公表した業績見通しが市場予想に届かなかったビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズが急落した。エヌビディアなど半導体関連も安い。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,360.73-39.11
S&P500種
4,522.68-6.11
ナスダック
15,259.235-6.655
NY金(ドル/トロイオンス)
1,818.10+5.90
NY原油(ドル/バレル)
68.51-0.70
円・ドル
110.00 – 110.01+0.19
【シカゴ日本株先物概況】
8月31日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比375円高の2万8070円で引け、31日の大取終値を110円下回った。31日の日経平均株価が上昇した流れを受け買われた。
NYダウは、予想を下回った8月シカゴ購買部協会景気指数や消費者信頼感指数に失望し、寄り付き後、下落。月末で、利益確定売りも目立ち、終日軟調に推移した。
米景気指標を手掛かりに米株が下げた場面では売りが優勢になり、上げ幅を縮めた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28070 ( -110 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28070 ( -110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7119.70(-28.31)
31日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前営業日である27日の終値に比べ28.31ポイント(0.4%)安の7119.70で引けた。朝方から売りが先行し、午後に一段安となった。下落した銘柄数は半数をやや上回った。
他の欧州主要国の株価指数も総じて軟調だった。特段の手掛かり材料はなかったが、サプライチェーンの混乱や人手不足が景気回復の足を引っ張ることなどに懸念が広がった。
資源株と銀行株が売られ、株価指数を押し下げた。
個別銘柄では、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)の下げが目立った。欧州連合(EU)が30日、不要不急の渡航を認めるリストから米国など6カ国を除外したと発表し、航空機の利用が減るとの懸念が強まった。小売りのB&Mヨーロピアン・バリュー・リテールも売られた。
半面、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコは1.1%高と締まった。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたエンジニア事業のウェアー・グループは上昇した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15835.09(-52.22)
31日のドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。終値は前日と比べて52.22ポイント(0.3%)安の1万5835.09だった。
米金融政策の早期引き締め観測が後退したことで朝方から買いが先行し、取引時間中の最高値付近まで上昇した。だがその後は利益を確定するための売りに押され、午後には下落に転じた。
個別では、素材メーカーのコベストロの下げが目立った。ドイツテレコムも下落した。料理宅配大手のデリバリーヒーローは買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6680.18(-7.12)
