NYダウ259ドル安、米景気の減速懸念

 
8日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比259ドル86セント(0.7%)安の3万4421ドル93セントで終えた。世界で新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、景気回復が遅れかねないとの見方が強まった。米長期金利の低下も米景気の減速懸念を高め、景気敏感株や金融株を中心に売られた。
 
米国では最近、コロナワクチン接種拡大で経済正常化に向けて楽観的な見方が広がっていたが、感染力の強いインド由来のデルタ株が国内で主流になったことが判明。ワクチン未接種者が多い地域での影響が懸念されている。
 
また、五輪開催を控えた日本では8日、コロナ感染拡大を受け、政府が東京都に4回目となる緊急事態宣言の発令を決定。世界的な景気への打撃に対しても警戒感が広がった。
この日は海外市場でも総じて株が売られたほか、朝方発表された最新週の米国の新規失業保険申請件数は37万3000件と、市場予想(ロイター通信調べ)の35万件を上回る内容。相次ぐ弱材料を嫌気し、ダウは終日軟調な展開を維持し、下げ幅は一時500ドルを超えた。
米長期金利は一時1.25%と2月以来の水準に下げた。
 
景気敏感株が下げを主導し、建機のキャタピラーや化学のダウが安い。長期金利低下を受け、利ざや縮小の懸念からゴールドマン・サックスなど金融株も売られた。前日まで長期金利低下を支えに上昇基調にあった主力ハイテク株の多くも利益確定売りに押された。スマートフォンのアップルや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが下げた。
 
ただ、ダウ平均は売り一巡後は下げ渋る場面もあった。米景気回復の勢いが鈍れば米連邦準備理事会(FRB)の緩和的な金融政策が長期化し、相場を下支えするとの見方が根強い。今月後半に本格化する米主要企業の4~6月期決算の発表では大幅な増益が予想されており、企業業績などファンダメンタルズ(基礎的条件)はなお良好との見方も多い。
 
ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落した。前日比105.278ポイント(0.7%)安の1万4559.785で終えた。交流サイトのフェイスブックや検索サイトのアルファベットなど主力ハイテク株が下げ、半導体株も売られた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムは買われ、連日で上場来高値を付けた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,421.93-259.86
S&P500種
4,320.82-37.31
ナスダック
14,559.785-105.278
NY金(ドル/トロイオンス)
1,800.20-1.90
NY原油(ドル/バレル)
73.20+0.26
円・ドル
109.76 – 109.78-0.02
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は続落した。9月物は前日比590円安の2万7745円で引け、8日の大取終値を405円下回った。NYダウは、新規失業保険申請件数も予想外に増加したため、景気回復に懐疑的見方が広がり、終日軟調に推移した。世界的な新型コロナの変異ウイルスの広がりによる景気減速が警戒され、日経平均先物は米株とともに売られた。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
27745 ( -405 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
27770 ( -380 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7030.66(-120.36)
8日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日の終値に比べ120.36ポイント(1.7%)安の7030.66で引けた。構成銘柄の9割以上が下落した。
他の欧州主要国の株価指数も大幅安となった。新型コロナウイルスの感染拡大やインフレ懸念の拡大で、投資家のリスク回避姿勢が広がった。日本の東京で4回目の緊急事態宣言が発令され、東京五輪の無観客開催が決まったことなどが投資家心理を冷やした。
欧州中央銀行(ECB)は従来の物価目標を変更し、2%超の上振れを容認する姿勢を示した。ただ、株式相場を後押しする材料にはならなかった。
 
個別銘柄では、鉱業大手アングロ・アメリカン(4.1%安)、資源大手グレンコア(3.3%安)などの資源株が軒並み軟調。小売りのB&Mヨーロピアン・バリュー・リテールは約5%下落した。2021年4~6月期の英国の売上高が減少したことが響いた。投資会社のインターミディエイト・キャピタル・グループと住宅建設のパーシモンの下げも目立った。
半面、航空・防衛のBAEシステムズは買われた。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15420.64(-272.07)
8日のドイツ株式指数(DAX)は全面安だった。終値は前日と比べて272.07ポイント(1.7%)安の1万5420.64だった。世界景気の回復の遅れが懸念され欧州各国の主要株式相場は軒並み下落した。
個別では、欧米の長期金利の低下で利ざや縮小による収益悪化が懸念され、ドイツ銀行が3%超下げた。ミュンヘン再保険とハイデルベルクセメントの下げも目立った。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6396.73(-130.99)

 

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