25日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落した。前日比81ドル52セント(0.2%)安の3万4312ドル46セントで終えた。
米国の経済活動の正常化期待やビットコインの下げ止まりを受けて買いが先行した。ただ、前日までの続伸でダウ平均は過去最高値に近づき、このところ値持ちが良かった景気敏感株を中心に短期的な利益確定売りに押された。
ダウ平均は、ビットコイン相場の下げ止まりやインフレ懸念の後退を受け、上昇して取引が始まった。米シカゴ連邦準備銀行のエバンズ総裁は25日の講演で、インフレ率の上昇に関し、「望ましくない高水準に向かう前兆ではない」と強調。クラリダ米連邦準備制度理事会(FRB)副議長も「おおむね一時的との見方を維持している」と述べた。債券市場では、早期の金融緩和縮小懸念が後退し、長期金利が低下。割高感が薄れたハイテク株で買いが先行した。
また、バイオ医薬品企業のモデルナが、新型コロナウイルスのワクチンに関し、12~17歳を対象に実施した臨床試験で、高い予防効果を確認したと発表。経済再開への期待が高まったことも相場を支えた。
ワクチン普及が追い風になる旅行・レジャー関連株が買われ、相場を支えた。ダウ平均の構成銘柄では航空機のボーイングと映画・娯楽のウォルト・ディズニーが高い。
景気期待を支えに4月下旬以降、買われていた石油、素材、銀行などの業種に売りが広がった。銀行株にとっては米長期金利が1.5%台半ばに下げたのも売り材料になった。建機のキャタピラーや化学のダウが安い。
ただ、午後に入り、ビットコイン相場が伸び悩み、下落に転じると、投資家心理も悪化。ダウ平均が最高値に近づく中、「利益確定売りが出やすい」状況となり、マイナス圏に沈んだ。
米調査会社カンファレンス・ボードが発表した5月の消費者信頼感指数は117.2と4月(117.5)から小幅に低下し、市場予想も下回った。消費者心理の改善が一服したのも景気敏感株の重荷となった。
ナスダック総合株価指数は小反落し、前日比3.996ポイント安の1万3657.174で終えた。アムジェン、ギリアド・サイエンシズなどバイオ製薬株が売られ、指数の重荷となった。電気自動車のテスラも小幅安。一方、長期金利低下はハイテク株の一定の支えとなり、交流サイトのフェイスブック、ソフトウエアのマイクロソフト、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは上昇して終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,312.46-81.52
S&P500種
4,188.13-8.92
ナスダック
13,657.174-3.996
NY金(ドル/トロイオンス)
1,898.00+13.50
NY原油(ドル/バレル)
65.99-0.08
円・ドル
108.78 – 108.79+0.07
【シカゴ日本株先物概況】
25日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比90円安の2万8405円で引け、25日の大取終値を195円下回った。25日の米株式市場で米株が反落、新型コロナワクチンの普及による経済活動の正常化への期待から寄り付き後、上昇。経済再開で恩恵を受ける銘柄や、長期金利が1.6%を下回って推移していることを受け、ハイテク株にも買いが入った。ただ、取引開始後に発表された5月の消費者信頼感指数と4月の新築住宅販売件数が市場予想を下回ると買いの勢いは鈍った。ダウは高値圏では利益確定の売りもでた。日経平均先物に売りが波及した。朝方は米株とともに買いが先行した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28405 ( -195 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28410 ( -190 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7029.79(-21.80)
25日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ21.80ポイント(0.3%)安の7029.79で引けた。上昇と下落の銘柄数は拮抗した。
株価指数は前日終値を挟んだ水準での小動き。外為相場の最近のポンド高が上値を抑え、マイナス圏に沈んだ。
午前は取引材料に乏しく、前日終値の付近で一進一退した。時価総額の大きい石油株と鉱業株が下げ、医薬品株とたばこ株にも売りが広がり、相場を押し下げた。
銀行株は午前中売りに押されていたが、大半が上昇して引けた。
個別銘柄では料理宅配のジャスト・イート・テイクアウェー・ドット・コムが高かった。航空大手のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)も続伸した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15465.09(+27.58)
連休明けの25日のドイツ株式指数(DAX)は3日続伸した。終値は前営業日の21日と比べて27.58ポイント(0.2%)高の1万5465.09と、終値で4月に付けた過去最高値を更新した。
朝方に発表されたドイツのIfo企業景況感指数の改善や、米長期金利の低下などが上昇要因となった。
個別では、不動産サービスのドイチェ・ボーネンが15%超高と急騰した。同業大手のボノビアによる大型買収で合意したとの報道が材料になった。ボノビアは6%下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6390.27(-18.22)
