NYダウ続落 景気敏感株に売り

17日のNYダウ工業株30種平均は前日比210ドル22セント安の3万3823ドル45セントで終えた。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ時期の前倒しを嫌気した売りが続き、4営業日続落した。
 
前日のFOMCでは、2023年に2回の利上げ予想が示され、従来よりも1年前倒しとなった。終了後、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、量的緩和縮小の検討を始める意向を示した。FOMC参加者の政策金利見通しでは、23年末まで事実上のゼロ金利を続けるとしたのは、5人にとどまった。
 
市場からは、想定よりも「かなりタカ派的な展開となった」との声が上がった。また、原油や金などの商品相場は、ドル高や量的緩和縮小を嫌気して下落した。
景気過熱やインフレを見込んだ取引を手じまう動きも広がった。素材や金融など景気敏感株に売りが強まった。半面、長期金利の低下でハイテク株は上昇した。
 
17日は金や銅、原油など商品先物相場が総じて下落し「リフレトレード」が後退した。米株式相場でも素材やエネルギー株が売られ、化学のダウが3%安、石油のシェブロンは2%安となった。商品価格の上昇や景気回復を期待して買われてきた建機のキャタピラーが4%下げ、工業製品・事務用品のスリーエムや航空機のボーイングも売られた。
 
債券市場では年限の短い2年物国債を売って10年や30年物国債を買う動きが広がり、利回り曲線の平たん化が進んだ。米長期金利の低下による利ざや縮小の思惑からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が売られた。ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。
 
一方、金利低下の局面で買われやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が買われ、ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルが上昇した。市場では「4~6月期決算発表を来月に控え、好業績を見込んでハイテク株に資金が移動している」(ナショナル・ホールディングスのアート・ホーガン氏)との指摘もあった。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比121.666ポイント(0.9%)高の1万4161.350で終えた。14日に付けた過去最高値(1万4174)を上回る場面もあった。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流ソフトのフェイスブックなど主力ハイテク株が上昇した。
 
アナリストが目標株価を引き上げた画像処理半導体のエヌビディアが5%上げ、上場来高値を付けた。データセンター市場でのシェア拡大が期待されたアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は6%高で終えた。
 
通信ソフトのトゥイリオが8%高、ネット通販支援のショッピファイが6%高で終えるなど、景気敏感株に比べ出遅れていた新興のグロース(成長)株を買い上げる動きも目立った。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
33,823.45-210.22
S&P500種
4,221.86-1.84
ナスダック
14,161.350+121.666
NY金(ドル/トロイオンス)
1,774.80-86.60
NY原油(ドル/バレル)
70.93-0.11
円・ドル
110.25 – 110.27-0.34
 


【シカゴ日本株先物概況】

17日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比205円安の2万9125円で引け、17日の大取終値を125円上回った。
 
週次失業保険申請件数が予想外に前週から増加したほか、6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数も予想を下回ったため寄り付き後、下落した。17日のNYダウは終日軟調に推移。引けにかけてはハイテク株の上昇が下支えとなり、下げ幅を縮小した。NYダウが続落したことも相場の重荷になった。米長期金利の低下を背景に円が上昇し、日経平均先物に売りが出た。
 
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
29125 ( +125 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
29150 ( +150 )
( )は大阪取引所終値比
 
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7153.43(-31.52)
17日のFTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ31.52ポイント(0.4%)安の7153.43で引けた。
指数構成銘柄のほぼ6割が下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて金などの商品市場が下落したことを嫌気し、資源株が多く売られ、下げを主導した
銅価格の大幅下落で資源商社のグレンコアなど鉱業関連株が売られ、株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、ヘルス・安全装置関連のハルマは4%超の下落と目立った。精密計測器メーカーのレニショーも売られた。鉱業大手アングロ・アメリカンと産金大手フレスニロが3.4%安、産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナルが3.3%安と売られた。
 
一方、通信のBTグループは上昇した。英国政府が旅行関連の規制を緩和する方向で検討中と伝わり、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループも上げた。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15727.67(+17.10)
17日のドイツ株式指数(DAX)は小反発した。終値は前日と比べて17.1ポイント(0.1%)高の1万5727.67だった。米金融政策の正常化が早まるとの見方から下がって始まったが、午後に上昇に転じた。
 
個別では、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズとドイツ取引所の上昇が目立った。電力のRWEは売られた。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6666.26(+13.61)

 

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