NYダウ続落85ドル安 景気敏感株に利益確定売り

3月31日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比85ドル41セント安の3万2981ドル55セントで終えた。
米国の景気回復期待でこのところ上昇が目立っていた景気敏感株の一角に、短期的な過熱感を警戒した利益確定売りが優勢だった。一方、米長期金利の上昇一服を受けて主力ハイテク株に押し目買いが入った。
 
バイデン米大統領が発表するインフラ投資を中心とした2兆ドル規模の新たな財政出動が伝わり、ダウ平均は上昇して取引が始まった。道路や橋の修復に加え、電気自動車の普及支援やデジタルインフラの拡充も盛り込んだ。一方、法人税の引き上げなどで財源を賄う計画だ。
市場では、「増税による企業へのマイナスを考えても、財政出動の恩恵が大きい」と、景気回復の加速への期待が広がった。ただ一方で、大型財政出動や増税には野党共和党が反対しており、「政権が提案したまま実現するとは考えにくい」と冷静な声も聞かれた。
 
工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や建機のキャタピラー、化学のダウなど景気敏感株への売りが目立った。金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースも下げた。月末最終日の取引だったこともあり、新型コロナウイルスのワクチン普及による経済活動の正常化や追加経済対策の期待で買いが目立っていた銘柄には、利益確定売りが膨らんだ。
 
一方、足元で相対的に弱含んでいたハイテク株には買いが入った。米ホワイトハウスがバイデン政権のインフラ投資計画の概要を公表した後も、米長期金利は1.7%台前半で推移し、見直し買いにつながった。アナリストの投資判断引き上げも買い材料となったスマートフォンのアップルは2%高となった。ソフトウエアのマイクロソフトも高い。ダウ平均の構成銘柄以外ではSNS(交流サイト)のフェイスブックやネット通販のアマゾン・ドット・コムなども買われた。
 
ダウ平均の3月の月間上昇率は6.6%と、昨年11月(11.8%)以来の大きさだった。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比201.477ポイント(1.5%)高の1万3246.871で終えた。バイデン政権のインフラ投資計画に、製造業の振興策として半導体の米国生産を支援する補助金や人工知能(AI)の研究開発投資が盛り込まれた。アプライドマテリアルズなど半導体関連銘柄が軒並み上昇した。同計画が電気自動車(EV)の普及も後押しするとみて、EVのテスラは5%高となった。
 
ナスダック指数の3月の月間上昇率は0.4%となり、5カ月連続で上昇した。米長期金利の上昇が重荷となり、3月上旬は2月に付けた過去最高値からの下落率が「調整局面入り」とされる10%に達した。だが、その後は買い戻しが入って月間では上げた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,981.55-85.41
S&P500種
3,972.89+14.34
ナスダック
13,246.871+201.477
NY金(ドル/トロイオンス)
1,715.60+29.60
NY原油(ドル/バレル)
59.43-1.12
円・ドル
110.69 – 110.74-0.04
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

3月31日のシカゴ日経平均先物は小幅に反落した。
6月物は前日比25円安の2万9345円で引け、31日の大取終値を165円上回った。
NYダウは、バイデン大統領の発表を控え、大型インフラ計画が回復をさらに支援するとの期待に、寄り付き後上昇した。月末、四半期末で利益確定売りが目立ったほか、増税や債務拡大への懸念に上値が抑制され、引けにかけてダウは下落に転じた。米株式市場で利益確定の売りに押され、日経平均先物にも売りが波及した。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29345 ( +135 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29370 ( +160 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6713.63(-58.49)
31日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ58.49ポイント安の6713.63で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。午後に下げ幅をやや広げた。
 
原油相場の下落を背景にロイヤル・ダッチ・シェルなど石油株が売られ、株価指数を押し下げた。ロンドン株式市場の久々の大型IPO(新規株式公開)として注目を集めたオンライン宅配サービスのデリバルーは、売出価格から30%安という散々なデビューとなった。
 
個別銘柄では、不動産投資信託(REIT)のブリティッシュ・ランドと製紙のモンディの下げが目立った。金融大手HSBCホールディングス、同バークレイズ(いずれも1.7%安)などの銀行株も売られた。
 
半面、医薬品のヒクマ・ファーマシューティカルズは、アナリストが投資判断と株価目標を引き上げたことが好感され3%超上げた。投資信託のスコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストも買われた。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15008.34(-0.27)
31日のドイツ株式指数(DAX)は5営業日ぶりに小幅安となった。終値は前日比0.27ポイント安の1万5008.34だった。30日まで連日で過去最高値を更新しており、過熱感から利益確定の売りがやや優勢だった。
個別では、素材メーカーのコベストロと化学のBASFが売られた。RWEなど電力株は上昇した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6067.23(-20.81)
 
 

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