9日のNYダウ工業株30種平均は7営業日ぶりに小反落し、前日比9ドル93セント安の3万1375ドル83セントで終えた。ダウ平均は過去6日間で1403ドル上昇し、前日には3週ぶりに過去最高値を更新した。このため、上昇をけん引してきた景気敏感株に利益確定売りが出た。一方、米民主党が単独で大型の経済対策を成立させるとの観測が買いを支えた。
連日の上昇で短期的な過熱感が出ていた銘柄中心に利益確定売りが出た。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや化学のダウなど景気敏感の一角が下落。米長期金利の上昇が一服し、JPモルガン・チェースなど銀行株も下げた。
この日は新規の材料に乏しい中、市場は米追加経済対策の行方などに注目。バイデン米大統領が成立を目指す1兆9000億ドル規模の追加経済対策は、議会上下両院が前週末に法案作りに向けた予算決議を可決し、与党民主党単独での可決が可能になった。ただ、家計への現金給付の条件など、法案の中身をめぐる調整が続いている。
市場では、高所得者向けの現金給付が制限される可能性もあるが「1.7兆ドルで3月末までに成立する」との予想も出ている。
ダウ平均の構成銘柄では、景気敏感株に出遅れていた外食のマクドナルド、医療保険のユナイテッドヘルス・グループなどディフェンシブ株の上げが目立った。
中小型株で構成する株価指数のラッセル2000は連日で過去最高値を更新。相場の過熱感が警戒されるなかでも、経済対策や新型コロナウイルスのワクチン普及で相場底上げが進んでいるとの見方もあった。
ナスダック総合株価指数は4日続伸し、前日比20.055ポイント(0.1%)高の1万4007.697と初めて1万4000台に乗せて終えた。ソフトウエアのマイクロソフトや交流サイトのフェイスブック、動画配信のネットフリックスの上げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
31,375.83-9.93
S&P500種
3,911.23-4.36
ナスダック
14,007.697+20.055
NY金(ドル/トロイオンス)
1,834.20+21.20
NY原油(ドル/バレル)
58.38+0.41
円・ドル
104.55 – 104.59-0.22
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は小幅に反落した。3月物は前日比25円安の2万9410円で引け、9日の大取終値を90円下回った。
史上高値付近では上昇をけん引してきた景気敏感株を中心とした利益確定売りが先行し、寄り付き後、下落した。追加経済対策の早期成立や景気先行きへの期待に加えハイテクが下値を支えダウは上昇に転じる局面もあったが戻り鈍く終日軟調推移となった。
朝方の市場で米株が利益確定の売りに押され下げ、日経平均先物にも売りが波及した
この日の3月物安値は2万9335円、高値は2万9580円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
29410 ( -90 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
29420 ( -80 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6531.56(+8.03)
9日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続伸した。前日の終値に比べ8.03ポイント(0.1%)高の6531.56で引けた。日中を通して狭い値幅で推移した。前日買われた資源株はポンド高を背景に売られ、値上がり銘柄は約半数にとどまった。
個別銘柄では、住宅建設のテイラー・ウィンピーが2.6%高と上昇が目立った。複数のアナリストが投資判断を引き上げた銀行のHSBCホールディングスも買われた。英たばこ大手インペリアル・ブランズは1.8%高、英資産運用会社インターメディエイト・キャピタル・グループは1.7%高だった。
一方、ロシアの鉄鋼大手エブラズは下落した。2020年11月期決算を発表したネット専業スーパーのオカド・グループも売られた。英ホームセンター大手キングフィッシャーは2.4%安、英小売JDスポーツファッションは2.3%安とふるわなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14011.80(-48.11)
9日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて48.11ポイント安の1万4011.80だった。上昇基調が続いて過熱感も出ており、この日は売りが優勢だった。
個別では、電力のRWEと半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げが目立った。ハイデルベルクセメントは買われた。事業の見直しで一部資産を売却する方針を示したことなどが好感された。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5691.54(+5.51)
その他の欧州の主要株式相場は英国とフランスを除き下げた。
