11日のNYダウ工業株30種平均は小反落し、前日比7ドル10セント(0.02%)安の3万1430ドル70セントで終えた。
米大型追加経済対策への期待感が広がる中、午前のダウは取引時間中の史上最高値を更新。だが、このところの最高値圏での取引を受けて次第に利食い売りの動きが強まり、マイナス圏での取引に転じた。ただ、底堅い展開が続き、終盤までに大幅に下げ幅を縮めた。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日の講演で「忍耐強く緩和的な金融政策を講じることが重要だ」と指摘。金融緩和が長期間維持されるとの思惑も広がった。
原油相場の上昇を背景に買われてきた石油のシェブロンや、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が下げた。米長期金利の上昇局面で買われたゴールドマン・サックスなど金融株も安い。ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの下げも目立った。新型コロナウイルスワクチンの接種業務の収益貢献を織り込んで年初来で3割上昇していたが、利益確定売りに押された。ダウ平均は190ドル強下げる場面があった。
ただ、相場の下値は堅かった。追加経済対策が年後半にかけ、米景気回復を後押しするとの期待が相場を支えた。民主党のペロシ下院議長は11日の会見で、現行の失業保険の増額措置が切れる3月中旬までに対策を成立させる見通しを示した。米民主党は財政調整法を活用して大型の対策を単独で成立させるとみられている。取引終了間際、米政府が追加で2億回分のコロナワクチンを確保したと伝わったことも買い材料になった。
個別ではインテルなど半導体株やアプライドマテリアルズなど半導体製造装置株が大きく上昇した。バイデン政権が、自動車生産に影響を及ぼしている半導体不足への対策をまとめる方針を示し、好感した買いが集まった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%あまり上昇した。
暗号資産(仮想通貨)ビットコインの高値更新が続き、ビットコイン取引サービスを手掛ける決済サービスのスクエアも上げた。顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトなど主要ハイテク株の一角にも買いが入った。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比53.240ポイント(0.4%)高の1万4025.774とS&P500種株価指数は前日比6.50ポイント(0.2%)高の3916.38で終えた。両指数とも過去最高値をわずかに更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
31,430.70-7.10
S&P500種
3,916.38+6.50
ナスダック
14,025.774+53.240
NY金(ドル/トロイオンス)
1,842.70+5.20
NY原油(ドル/バレル)
57.89-0.79
円・ドル
104.73 – 104.74+0.22
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は続落した。3月物は前日比155円安の2万9255円で引け、10日の大取終値を165円下回った。
10日のNYダウ工業株30種平均は最高値を更新したものの、アップルなどハイテク銘柄が売られ日経平均先物にも売りが波及した。昨年末から急速に上げ進んだため高値警戒感も強く、上値の重い展開になった。
この日の3月物安値は2万9170円、高値は2万9555円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
29455 ( +35 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
29465 ( +45 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6528.72(+4.36)
11日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反発した。前日の終値に比べ4.36ポイント(0.1%)高の6528.72で引けた。指数構成銘柄の約6割が値上がりした。前日終値を挟んで一進一退した。好材料の出た銘柄が高くなったが、大型株に売りが出て相場の重荷になった。
個別銘柄では、飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングが4.6%高と日中を通して高かった。配当の増額と2021年の業績見通しに自信を示したことが買い手掛かりになった。
酒類のディアジオも連れ高した。品質試験サービスのインターテック・グループは3.6%高、アナリストが目標株価と投資判断を同時に引き上げたことで買われた。
一方、時価総額の大きい石油株や鉱業株、医薬品株、銀行株は売りに押された。食品・日用品のユニリーバの下げも目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14040.91(+107.94)
11日のドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反発した。終値は前日と比べて107.94ポイント(0.8%)高の1万4040.91だった。
個別では、アディダスが大幅に上昇した。アナリストが目標株価と投資判断を同時に引き上げたことが手掛かりになった。前日下落したフォルクスワーゲンなど自動車株や半導体のインフィニオンテクノロジーズは買い戻された。電力のエーオンと産業機器のシーメンスの下げが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5669.82(-0.98)
フランスの株価指数CAC40と小幅ながら下落した。
