NYダウ464ドル高、インフレ抑制や追加経済対策期待

 
10日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸した。前日比464ドル28セント高の3万2297ドル02セントで終え、2週間ぶりに過去最高値を更新した。終値で3万2000ドル台に乗せるのも初めて。
 
朝方発表された2月の米消費者物価指数(CPI)は前月から0.4%上昇し、伸び率は市場予想と一致した。また、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.1%上昇と、市場予想の0.2%上昇を下回った。市場で高まっていたインフレ加速への警戒感が和らいだことから、ダウ平均は序盤から上昇。上げ幅は一時550ドルを超えた。
 
米下院は10日、1.9兆ドル規模の追加経済対策を可決した。12日にバイデン大統領が法案に署名し、成立する。家計への現金給付などが景気回復を加速させるとの見方から景気敏感株を中心に買われた。
 
景気敏感株では航空機のボーイングが6%高となり、化学のダウや建機のキャタピラーの上げも目立った。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も買われた。原油高を受けてシェブロンなど石油株も高い。家計への現金給付が消費拡大を後押しするとの見方から、小売りのウォルマートやホームセンターのホーム・デポなど小売り株にも買いが向かった。
 
長期金利上昇を警戒したハイテク株の売りの勢いはひとまず弱まった。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトは小幅な下げにとどまった。
このところ株価の重しとなっていた米長期金利の急上昇が落ち着きを見せていることも、株の買い材料となった。長期金利の指標である10年物米国債利回りは、この日はCPIの発表などを受け、一時1.51%付近に低下した。
 
ナスダック総合株価指数は小幅に反落し、前日比4.993ポイント安の1万3068.832で終えた。半導体銘柄への売りが目立った。前日に大幅高だった電気自動車のテスラも下げて終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,297.02+464.28
S&P500種
3,898.81+23.37
ナスダック
13,068.832-4.993
NY金(ドル/トロイオンス)
1,716.90+38.90
NY原油(ドル/バレル)
64.69+0.68
円・ドル
108.36 – 108.41-0.36
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は反落した。
3月物は前日比110円安の2万9105円で引け、10日の大取終値を125円上回った。
ナスダック総合株価指数の反落を背景に、上値の重い展開になった。
朝方発表になった2月の米消費者物価指数(CPI)を手掛かりにインフレ上昇への警戒感が薄れ、日経平均先物は買われる場面もあった。
 
この日の3月物安値は2万8965円、高値は2万9265円。

シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
29105 ( +125 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
29105 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6725.60(-4.74)
10日のFTSE100種総合株価指数は小幅ながら3日ぶりに反落した。前日の終値に比べ4.74ポイント(0.1%)安の6725.60で引けた。構成銘柄の半数以上が下げた。
FT指数は安寄り後、午後までマイナス圏で推移。米株価が高寄りし、NYダウ工業株30種平均が過去最高値を更新すると、英株価も連れ高となり、一時プラス圏に浮上する場面もあった。
時価総額の大きい鉱業株と石油株を中心に売買が交錯し、方向感の定まらない展開となった。主力の鉱業株は全銘柄が下落し、指数を押し下げた。日中に一部が買い戻され、指数が上昇する場面もあった。
 
個別銘柄では、アントファガスタやBHPグループの下げが目立った各3.0%安。英投資会社メルローズ・インダストリーズと英・豪系資源大手リオ・ティントはそれぞれ2.9%安だった。石油のBPは不安定な値動きで推移した後、小幅安で引けた。
一方、ロイヤル・ダッチ・シェルは上げた。ネット食品デリバリーのジャスト・イートは6.1%高と大幅高だった。10日に発表した2020年通期の決算が増収となった。同社はコロナ禍でオンライン注文が好調で、21年も増収が続くと自信を示したため買われた。投資関連のM&Gと蒸気システムのスパイラックス・サーコ・エンジニアリングも高かった。それぞれアナリストによる目標株価の引き上げが材料になった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14540.25(+102.31)
10日のドイツ株式指数(DAX)は3日続伸し、連日で過去最高値(終値ベース)を更新した。終値は前日と比べて102.31ポイント高の1万4540.25だった。
午後に米株高が波及し、上げ幅を広げた。11日の欧州中央銀行(ECB)理事会の政策会合で、緩和策が継続されるとの観測も買いを誘った。
 
個別では、ドイツテレコムが大幅高だった。アナリストが目標株価と投資判断を同時に引き上げたことが手掛かりになった。アディダスも高かった。同社は10日発表の2020年10~12月期決算が増収となり、21年の売上高も急回復するとの見通しを示した。
 
半面、半導体のインフィニオンテクノロジーズと料理宅配大手のデリバリーヒーローの下げが目立った。それぞれ利益確定の売りで下げた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5990.55(+65.58)
欧州の主要株式相場も上げた。フランスは株価指数も連日で約1年ぶりの高値水準となった。

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