NYダウ反落し620ドル安 1カ月半ぶり3万ドル割れ

29日のNYダウ工業株30種平均は大幅に反落し、前日比620ドル74セント安の2万9982ドル62セントで終えた。節目の3万ドルを下回って終えるのは、2020年12月14日以来、1カ月半ぶり。
 
今週急騰していたゲームソフト販売大手ゲームストップなどを対象に、人気の株取引アプリ「ロビンフッド」などで前日、取引制限措置が導入された。ただロビンフッドの取引制限が29日に緩和されることが前日明らかになり、個人投資家の商いで相場が荒い値動きを示すとの懸念が台頭。市場で不透明感が高まり、リスク回避の動きが強まった。
 
28日に急落した対象となるゲーム専門店のゲームストップは、29日は68%上昇、映画館運営のAMCエンターテインメント・ホールディングスは54%上げた。これら銘柄に空売りを出していた複数のヘッジファンドは損失限定の買い戻しを迫られると同時に、損失を埋めるため保有する主力株に換金売りを出したとの観測が広がった。
 
米証券取引委員会(SEC)は29日、個人投資家を主要顧客とする一部の証券会社が個別株の取引を一時停止した問題を巡り調査を始めると発表した。ヘッジファンドなどプロの投資家は取引を続けることができたことに対し、米国では世論や政治家から批判が相次いでいる。問題の解決には時間がかかるとの見方も投資家心理に影を落とした。ダウ平均の下げ幅は一時に700ドルを超えた。
 
ダウ平均の構成銘柄では外食のマクドナルドを除き、29銘柄が下げた。29日発表の20年10~12月期決算が市場予想を下回った石油のシェブロンが4%超下落。化学のダウや機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株も売られた。主力ハイテク株も軟調で、スマートフォンのアップルが4%近く下落。ソフトウエアのマイクロソフトは3%下げた。
 
投資家の不安感を示す「恐怖指数」として知られる米シカゴ・オプション取引所のVIX指数の29日の終値は33.09となり、前日比9.53%上昇した。同指数は20を超えると投資家の不安心理が高まっているとされ、この日は一時37を超えた。
 
ナスダック総合株価指数も反落し、前日比266.463ポイント(2.0%)安の1万3070.695で終えた。電気自動車(EV)のテスラが5%下げたほか、インテルなど半導体株も総じて安い。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
29,982.62-620.74
S&P500種
3,714.24-73.14
ナスダック
13,070.695-266.463
NY金(ドル/トロイオンス)
1,841.20-7.70
NY原油(ドル/バレル)
52.14-0.20
円・ドル
104.71 – 104.73+0.41
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

29日のシカゴ日経平均先物は急反落した。3月物は前日比615円安の2万7780円で引けた。29日の大取終値は210円上回った。

この日も現物株市場で一部銘柄の投機的な取引がやまず、嫌気売りが広がり、先物でも売りが優勢となった。
ネット証券のロビンフッドが急騰銘柄の売買制限を緩和し、ゲームストップやAMCエンターテイメントが再び50%以上急騰したことで、市場の混乱が懸念されたほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のコロナワクチンの試験結果が失望されたこともセンチメントの悪化につながった。
 
この日の最高値は2万8395円、安値は2万7565円だった。
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
29日のFTSE100種総合株価指数は全面安となった。個人投資家らによるオンライン取引を背景とした米株価の混乱などが背景で3日続落した。前日の終値に比べ118.69ポイント(1.8%)安の6407.46で引けた。上昇したのは6銘柄だけだった。
 
ロックダウン(都市封鎖)が続き景気の先行きが懸念され、売りが広がった。29日のアジアと米国の株安も売り材料となった。医薬品株と資源株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、複数のアナリストが株価目標を引き下げた保険のプルーデンシャルは5%超下落した。航空機エンジンのロールス・ロイスの下げも目立った。英金融大手M&Gは4.5%安、英小売JDスポーツファッションは4.1%安だった。
 
一方、外食デリバリーサービスのジャスト・イートは4%上げた。アナリストによる株価目標の引き上げが好感された。金価格の上昇を背景に、関連のフレスニージョも買われた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
29日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて233.06ポイント安の1万3432.87だった。29日のアジアと米国の株式相場が下落し、つれ安となった。
 
個別では、ミュンヘン再保険とドイツ銀行の下げが目立った。自動車のダイムラーは上昇した。28日に発表した2020年12月期の営業利益が市場予想を上回ったことが好感された。一方、上昇したのはダイムラーと、素材のコベストロ、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズの計3銘柄だけだった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,399.21 -111.31    

 

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