1日のNYダウ工業株30種平均は反発した。前週末比229ドル29セント(0.8%)高の3万0211ドル91セントで終えた。
市場の混乱を招いていた個人の投機的な売買が弱まり「損失が膨らんだヘッジファンドの持ち高調整が一巡した」(UBS)との見方から買いが優勢になった。ダウ平均は前週に1000ドル強下落しており、長期的な株高を見込む投資家から押し目買いも入りやすかった。
バイデン大統領は前日、1兆9000億ドル規模の追加経済対策をめぐり、与党民主党主導による早期成立を目指す可能性を示唆した。ただ一方で、1日には、規模縮小を主張する共和党の穏健派議員団とも協議する。
市場では、先週末に大きく下げた反動から買いが先行して取引開始。経済対策をめぐる協議が進んでいることを好感した買いも入った。
前週はSNS(交流サイト)で連携した個人の買いで一部銘柄が急騰し、空売り残高を積み上げていたヘッジファンドの損失計上が相次いだ。1日は個人の投機的な買いは弱まった。米ネット証券ロビンフッド・マーケッツは乱高下した銘柄の購入停止を29日に解除したが、まだ株数やオプション契約件数に厳しい上限を設けているためだ。購入制限が続くゲーム専門店のゲームストップ株は31%安で終えた。
米国では新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にある。バイオ製薬のモデルナが、ワクチン1瓶から従来の10回より多い15回分の接種ができるよう米食品医薬品局(FDA)と交渉していると伝わった。実現すればワクチン普及が加速するとの見方が広がり、投資家心理の改善につながった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した1月の米製造業景況感指数は前月から低下したものの、58.7と好不況の境目である50を2カ月連続で上回った。「1~3月期の堅調な経済成長を示している」(エバコアISI)と受け止められ、買い安心感につながった面もある。
もっとも、投資家心理を測る目安となる米株の変動性指数(VIX)は前週末比で9%低下したとはいえ、30強で終えた。不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っており、市場の警戒感は続いている。
クレジットカードのビザや金融のゴールドマン・サックスなど業績が景気と連動しやすい銘柄が上げた。ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルなど主力ハイテク株も買われた。顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムも上昇した。
セクター別では自動車・自動車部品、半導体・同製造装置が上昇した一方で、食・生活必需品が下落した。
ナスダック総合株価指数は反発し、前週末比332.699ポイント(2.5%)高の1万3403.394で終えた。2日に2020年10~12月期の決算発表を予定するネット通販のアマゾン・ドット・コムと検索サイトのアルファベットはともに4%高で終えた。決算が好内容になると期待した買いが入った。アナリストが目標株価を大幅に引き上げた電気自動車のテスラは6%高で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
30,211.91+229.29
S&P500種
3,773.86+59.62
ナスダック
13,403.394+332.699
NY金(ドル/トロイオンス)
1,863.90+13.60
NY原油(ドル/バレル)
53.54+1.34
円・ドル
104.92 – 104.98+0.18
【シカゴ日本株先物概況】
1日のシカゴ日経平均先物は反発した。
3月物は前週末比515円高の2万8295円で引け、1日の大取終値を155円上回った。
米株式市場の混乱を招いた個人投資家による空売りの手仕舞いも一巡したほか、金融システムに与える影響は限定的との見方が広がり安心感からリスクオフムードも和らぎ終日堅調に推移しあ。
新型コロナウイルスのワクチン普及による景気回復への期待も買いを支えた。米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した1月の米製造業景況感指数は前月比低下したが、価格指数はインフレ圧力の上昇を示した。
この日の3月物高値は2万8305円、安値は2万7570円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28295 ( +155 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28300 ( +160 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6466.42(+58.96)
1日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発した。前週末の終値に比べ58.96ポイント高の6466.42で引けた。
米人気交流サイト(SNS)「レディット」の個人投資家による銀相場の急騰を受け、貴金属を扱う鉱業大手の株価が急伸した。世界的な株高も支援材料となった。日中を通して高値圏で推移した。構成銘柄の9割近くが上昇した。
銀価格の上昇を背景に鉱業株が買われ株価指数を押し上げた。
個別銘柄では、銀生産大手のフレスニージョは9%高で引けた。一時は20%急伸する場面もあった。ロシアの金銀生産大手のポリメタル・インターナショナルの上昇も目立った。スポーツ関連小売りのJDスポーツ・ファッションは、米企業の買収で合意したことを材料に7%高だった。
半面、ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油株は売られた。教育事業のピアソンは5%超下げた。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き下げたことなどが響いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13622.02(+189.15)
1日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前週末と比べて189.15ポイント(1.4%)高の1万3622.02だった。アジアと米国の株高を好感して買いが優勢だった。
アディダスは、アナリストによる株価目標引き上げなどが好感され買われた。不動産サービスのドイチェ・ボーネンの上昇も目立った。下落したのは、透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアなど5銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5461.68(+62.47)
フランスなど欧州の主要株価指数は全て上昇した。
