NYダウ反落184ドル安、コロナ再拡大を懸念

14日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前週末比184ドル82セント(0.6%)安の2万9861ドル55セントで終えた。
取引前半のダウ平均はプラス圏で推移し、取引時間中の史上最高値を塗り替えた。米国でコロナワクチンの接種がこの日始まったことが支援材料になったほか、議会で協議が続く追加経済対策への期待も相場を支えた。
 
ただ、ロイター通信の集計では、米国のコロナによる累計の死者数がこの日、30万人を突破した。新型コロナウイルスの感染再拡大に歯止めがかからず、米経済への影響を懸念した売りが出た。米国では感染防止のためロックダウン(都市封鎖)が再度導入されるとの観測も浮上し、投資家心理を冷やした。
ニューヨーク市は14日からレストランの屋内飲食を再び禁止した。英政府も同日、ロンドンで同様の規制を導入した。
 
ニューヨーク市のデブラシオ市長が14日、新型コロナ感染の抑制のためにロックダウンの可能性に言及したと伝わった。ニューヨーク州のクオモ知事も数週間の全面的なロックダウンの必要性を示唆し、警戒された。
 
米食品医薬品局(FDA)は11日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの緊急使用を許可し、14日から全米で接種が始まった。もっとも、国民に広く接種されるのは来年春以降とみられ、21年1~3月期の経済の落ち込みは避けられないとの見方が根強い。
 
与野党が協議中の追加経済対策が近く合意するとの観測から、ダウ平均は午前中に200ドル超上昇する場面があった。その後はじりじりと水準を切り下げ、引けにかけて一段安となった。
 
メルクやファイザーなど医薬品株の下げが目立った。石油のシェブロンも安い。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや化学のダウなど景気敏感株も下げた。一方、外食のマクドナルドとバイオ製薬のアムジェンは上昇した。
 
セクター別ではエネルギーが大幅下落した一方で、半導体・同製造装置が上昇。
 
ナスダック総合株価指数は前週末比62.168ポイント(0.5%)高の1万2440.040と反発した。インターネット小売りのアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスなど「巣ごもり消費」の恩恵を受ける銘柄が高い。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やエヌビディアなど半導体株も総じて買われた。電気自動車のテスラは5%上げた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
29,861.55-184.82
S&P500種
3,647.49-15.97
ナスダック
12,440.040+62.168
NY金(ドル/トロイオンス)
1,843.60+6.20
NY原油(ドル/バレル)
47.04+0.47
円・ドル
104.00 – 104.02+0.09

 


【シカゴ日本株先物概況】

14日のシカゴ日経平均先物は反発した。3月物は前週末比120円高の2万6655円で引け、14日の大取終値を35円下回った。
国内で新型コロナウイルスワクチン接種が開始したほか、追加経済対策がいずれ成立するとの根強い期待に寄り付き後大きく上昇した。しかし、ロンドン市が最も厳格な封鎖を発表したことに続き、ニューヨーク市長が全面的なロックダウンの可能性を警告すると下落に転じ上げ幅を縮めた。
 
この日の12月物高値は2万6800円、安値は2万6550円。
 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
 26655 ( -35 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26690 ( 0 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6531.83(-14.92)
14日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前週末の終値に比べ14.92ポイント(0.2%)安の6531.83で引けた。
株価指数は朝高後値を消した。13日の期限を過ぎた英国と欧州連合(EU)の貿易交渉は継続が決まり、相場を下支えした。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大でロンドンは最高水準の社会制限が導入されることになり、投資家心理を圧迫した。
構成銘柄の7割が上昇したが、主力の資源株が売られ相場を押し下げた。
 
英国と欧州連合(EU)が通商交渉を継続することを好感した買いが優勢で始まった。午後に時価総額の大きい石油株が売りに転じ、下落に転じた。医薬品株の下落も響いた。
 
個別銘柄では、医薬品株のアストラゼネカが大幅下落し、5%超安で引けた。一時下げ幅は9%に達した。同社が12日に発表した米バイオ製薬の大型買収に対して一部株主が不満を示していることや、新型コロナウイルスワクチンの開発に後れを取っているとの見方などが売り材料視された。
石油株は原油相場の動きに連動した。朝方は原油の大幅高を追い風に上昇していたが、午後に原油安となり石油株も下落に転じた。鉱業株にも売りが広がった。金相場安を受けて関連のロシア金銀生産大手のポリメタル・インターナショナルが安かった。
 
半面、銀行株と保険株は日中を通して高値で取引された。英長期金利が上昇し、利ざや拡大を見込んだ買いで上げた。引けにかけて衣料や食品関連の小売株にも買いが入った。新型コロナウイルスによる行動制限の強化で、オンライン需要が伸びるとの思惑などが材料視された。パーシモンを筆頭に住宅建設株は全銘柄が上昇した。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13223.16(+108.86)
14日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前週末と比べて108.86ポイント(0.8%)高の1万3223.16だった。前週末に大幅下落した反動もあり、割安感に着目した買いが入りやすかった。
 
個別では、料理宅配大手のデリバリーヒーローは続伸した。ドイツ政府が新型コロナウイルスの感染防止策として行動制限の大幅強化を決めたため、巣ごもり需要増を期待した買いが続いた。アナリストが目標株価を引き上げた素材メーカーのコベストロも高かった。半面、フォルクスワーゲンやドイツ銀行など数銘柄が小幅安となった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5527.84(+20.29)

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