10日午前の日経平均株価は続伸した。午前の終値は前日比268円37銭高の2万5108円21銭だった。上値追いが続きフシ目の2万5000円台を回復した。
前日の米国株市場でワクチン開発期待から景気敏感株が買い戻されNYダウが急騰した流れを引き継ぐ形となった。
米製薬大手のファイザーが開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験で高い効果を示すデータを発表し、感染収束への期待が投資家心理を明るくした。ワクチンの開発に伴い経済活動が正常化するとの思惑から、これまでコロナ禍で売り込まれた銘柄を中心に買いが集まった。
空運や鉄道バスが急伸した。造船や保険、不動産が買われた。自動車や鉱業、化学も上げた。
一方、これまで買われていたコロナ禍で需要増の恩恵を受けていた銘柄が売られた。
日経平均は11月に入り連日の値上がりとなり、10日のザラバ高値まで約2300円上昇。心理的な節目で29年ぶりの高値となる2万5000円台も回復した。
このため、「上昇ピッチの速さに対する警戒感も高まった」形となり、上昇幅を縮めて午前の取引を終えた。ワクチン開発期待は投資意欲を刺激する格好の材料になったのは確かだが、「業績面からの投資尺度では株価は極端に割高」と指摘していた。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)はともに上昇した。
ワクチン関連のニュースを受けて売買は活況となり、前引け時点の東証1部の売買代金は概算で2兆0991億円、売買高は10億8725万株だった。東証1部の値上がり銘柄数は1388と、全体の6割強を占めた。値下がりは727銘柄、変わらずは62銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は空運業、鉱業、保険業、陸運業の上昇が目立ち、その他製品、情報・通信業が下落した。
個別銘柄では、長期金利の上昇で資金運用環境が改善するとの見通しで第一生命HD、T&D、東京海上、MS&ADなど保険株が買われている。三菱UFJ、三井住友も買われている。JAL、ANAHD 、OLCや資生堂は大幅高。JR東日本、JR東海も急伸し、国際帝石、ENEOSが高く、日本製鉄も値を飛ばした。トヨタが値を上げ、日立、キヤノンも上昇した。
半面、任天堂、ソニー、ファーストリテ、キーエンスが下落、コロナ禍で堅調だったエムスリー、ヤマトHDなどが安い。ソフトバンクGは3.1%安で午前の取引を終えた。
東証2部株価指数は前日比24.20ポイント高の6300.41ポイントと5日続伸した。
出来高1億0373万株。値上がり銘柄数は230、値下がり銘柄数は176となった。
個別では、ワシントンホテルが一時ストップ高と値を飛ばした。省電舎ホールディングス、STIフードホールディングス、Abalance、田岡化学工業、浜井産業など9銘柄は年初来高値を更新。日建工学、オーナンバ、スターフライヤー、リスクモンスター、Jトラストが買われた。
一方、スーパーバッグ、ラピーヌが年初来安値を更新。アイケイ、理経、セキド、パシフィックネット、ジー・スリーホールディングスが売られた。
