29日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落した。前日比131ドル40セント安の2万7452ドル66セントで終えた。
欧米で新型コロナウイルスの感染が広がる中、金融株やエネルギー株が売られて相場を押し下げた。ダウ平均は前日までの3営業日で820ドル上昇した。
議会与野党の協議が難航している追加の新型コロナウイルス経済対策をめぐる期待が後退し、この日の株式市場は売り優勢となった。野党民主党のペロシ下院議長は前日、2兆2000億ドル(約230兆円)規模の新たな法案を提示。当初案から約1兆ドル減額したものの、「与党共和党との隔たりが依然大きい」ことから、成立への期待がしぼんだ。
中盤以降は、この日夜開かれる大統領選テレビ討論会を控え、様子見姿勢が拡大。株価は下げ幅を縮めた。
この日発表された経済指標では、コンファレンス・ボードの9月の消費者景気信頼感指数が101.8と、市場予想の89.5を上回った。これを受けて、ダウ平均は序盤にプラス圏に浮上する場面もあった。
金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスが下げた。原油安を受け、石油のシェブロンやエクソンモービルも売られた。前日に大幅に上げた航空機のボーイングも安い。
空運のアメリカン航空グループなど旅行・レジャー株の下げも目立った。空運株は、国際航空運送協会(IATA)が今年の旅客者数の見通しを下方修正したことも売り材料となった。
セクター別ではエネルギー、銀行が下落した一方、半導体・同製造装置が買われた。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日比32.28ポイント安の1万1085.25で終えた。主力ハイテク株はまちまち。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやスマートフォンのアップルは下げ、SNS(交流サイト)のフェイスブックは上昇した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株の一角が買われ、相場を支えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,452.66-131.40
S&P500種
3,335.47-16.13
ナスダック
11,085.248-32.277
NY金(ドル/トロイオンス)
1,903.20+20.90
NY原油(ドル/バレル)
39.17-0.12
円・ドル
105.64 – 105.65+0.09
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は小幅続伸した。
12月物は前日比70円高の2万3450円で引け、29日の大取終値を70円下回った。
円安が買いを支えた。一方で英国の新型コロナウイルス感染者数が一段と増加、さらに、収束傾向であったNY市の感染者数が6月来で最高に達したことが明らかになると警戒感から下げ幅を拡大する展開となった。ダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、日経平均先物の上値を抑えた。
この日の12月物高値は2万3600円、安値は2万3335円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23450 ( -70 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23500 ( -20 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5897.50(-30.43)
29日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ30.43ポイント安の5897.50で引けた。FT指数は序盤で5862.93まで下落。その後はジリジリと買い戻しが入り、一時5900台を回復した。構成銘柄の約6割が下落した。
朝方から金融株を中心に利益確定を目的とした売りが優勢だった。英国と欧州連合(EU)の将来関係を巡る最終協議が29日から始まったことで売買を手控える投資家も多く、取引は少なかった。
個別銘柄では、前日買われた銀行株は足元の利益確定の売りで下落した。なかでも前日に大幅高となったHSBCホールディングスの下げが目立った。不動産開発のランド・セキュリティーズと酒類のディアジオも下落した。航空機エンジンのロールス・ロイスと、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループはそろって大幅安となった。新型コロナウイルスの感染再拡大で需要回復のめどが遠のき、航空業界の先行きに対する懸念が再燃した。石油株やたばこ株など多国籍企業への売りも目立った。
一方、建設資材のファーガソンは大幅高で引けた。配当を再開するとの発表が好感された。コロナ下で住宅改修の需要が伸びたことも買い材料になった。利益の見通しを再度引き上げた小売りのB&Mヨーロピアン・バリュー・リテールも高かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12825.82(-45.05)
29日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて45.05ポイント(0.4%)安の1万2825.82だった。
前日に大幅上昇した反動から利益確定の売りが出やすかった。ミュンヘン再保険やドイツ銀行など金融株が安くなり、下げを主導した。前日に大幅高で引けた重電のシーメンスも下落した。前日下げた電力のRWEは高かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4832.07(-11.20)
フランスのCAC40では、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが高かった。買収撤回を巡り、米宝飾品大手ティファニーを反訴したと発表したことが材料視されたようだ。
