30日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比329ドル04セント高の2万7781ドル70セントで終えた。
追加経済対策で米与野党が近く合意するとの観測が強まり、買いを誘った。主力ハイテク株に加え、業績が景気に左右されやすい金融や素材など景気敏感株にも幅広く買いが入った。
この日は米野党民主党のペロシ下院議長とムニューシン米財務長官の経済対策をめぐる協議に注目が集まる中、合意への期待感が高まり、序盤から堅調な展開。午後に同財務長官が協議が進展したとの認識を示したが、結局合意には至らず、値を消す場面もあった。
ムニューシン米財務長官は30日、投資家向け会合で「追加経済対策の合意に向けて真剣に取り組んでおり、合意は可能だという希望を持っている」と述べた。成立は米大統領選後との見方に傾いていた追加対策が早期にまとまるとの期待が高まった。ダウ平均の上げ幅は一時500ドルを超えた。
米景気指標は堅調な内容が相次いだ。民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した9月の就業者数、9月のシカゴ景況指数はそれぞれ市場予想を上回った。また、4~6月期の実質GDP(国内総生産)確定値は上方修正され、景気をめぐる悲観的な見方が後退した。雇用市場の底堅さが意識されたことも株買いを促した。
9月下旬は年金基金などの運用資産のリバランス(配分調整)に伴い、7~9月期に大きく値上がりした株式への売りが膨らんだとみられる。期末を迎えてそうした動きが一巡し、需給改善につながった可能性もある。
スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなど主力ハイテク株が上昇した。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや金融のゴールドマン・サックスも高い。一方、29日夕に米国での2万8000人の従業員を削減すると明らかにした映画・娯楽のウォルト・ディズニーは下落した。
9月のダウ平均は月間で648ドル(2.3%)さげた。下落はコロナ禍で急落した3月以来。
セクター別ではヘルスケア機器・サービスが上昇した一方、運輸、資本財が下落した。
ナスダック総合株価指数も前日比82.26ポイント高の1万1167.51と反発した。動画配信のネットフリックスが上昇した。エヌビディアやインテル、テキサス・インスツルメンツなど半導体株の一角が上げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,781.70+329.04
S&P500種
3,363.00+27.53
ナスダック
11,167.507+82.259
NY金(ドル/トロイオンス)
1,895.50-7.70
NY原油(ドル/バレル)
39.95-0.27
円・ドル
105.42 – 105.43-0.19
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は反落した。12月物は前日比185円安の2万3265円で引け、30日の大取終値を75円上回った。
円相場の反発を嫌気した。一方、NYダウは、予想を上回った9月ADP雇用統計に加え9月シカゴ購買部協会景気指数が2年ぶりの高水準となったほか、追加パンデミック経済救済策を巡る交渉再開でムニューシン財務長官とペロシ下院議長が何等かの合意に至るとの期待から、大きく上昇して寄り付いた。しかし、速やかな合意には至らず、交渉継続にとどまったため期待感が後退し引けにかけて上げ幅を縮小した。
米追加経済対策を巡る与野党合意への期待から米株が反発し、下値を支えた。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23265 ( +85 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23305 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5866.10(-31.40)
30日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日の終値に比べ31.40ポイント安の5866.10で引けた。
FT指数は米大統領選の先行き不透明感を背景に安寄り。午後に入ると米景気刺激策への期待感から買い戻しが入って5900台を回復したが、終盤には再び軟調となり、引けにかけてストップロスで下げ幅を拡大した。構成銘柄の6割近くが下落した。
英国と欧州連合(EU)は10月2日を最終日とする将来関係を巡る大詰めの協議に入っている。市場では協議の行方を見極めるため積極的な売買は見送られ日中を通して狭い範囲での取引が続いたが、引け際にやや売りが強まった。原油安を背景とした石油株の売りが株価指数を押し下げた。
個別銘柄では、航空機エンジンのロールス・ロイスが7%超の下落と目立った。ネット専業スーパーのオカド・グループも大幅安だった。食品サービスのコンパス・グループは、2020年通期の売上高が大幅に落ち込む見通しのため1億ポンドの減損費用を計上する計画を明らかにした後、売られた。
一方、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループは4%超上げた。住宅建設のテイラー・ウィンピーも大きく上げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12760.73(-65.09)
30日のドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて65.09ポイント安の1万2760.73だった。
新型コロナウイルスの感染再拡大と米大統領選挙の行方が懸念され、午前は売りが優勢だった。午後に米国株が上げて始まると、ドイツ株も上昇に転じる場面もあったが、引け際に売りに押された。
個別では、素材メーカーのコベストロは7%超下げた。同社はオランダの同業他社からコーティング部門を買収することで合意した。アディダスも下落した。ドイツ銀行は買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4803.44(-28.63)
