NYダウ反落361ドル安、コロナ感染の拡大懸念

9日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比361ドル19セント安の2万5706ドル09セントで終えた。
米国では南西部の州を中心に新型コロナウイルスの感染拡大が続き、米経済活動の正常化が遅れるとの見方が広がった。金融や資本財など景気敏感株を中心に売られた。
 
米国の新型コロナ感染者数は西部や南部を中心に急増。米メディアによると、8日には1日の感染者数が過去最多となった。フロリダ州やテキサス州では、1日の死者数も増加している。最近の株高を支えてきた経済活動の再開を中断する州も増えており、市場では、再び経済が停滞する事態への警戒感が強まっている。
国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は9日、感染が急拡大している州は「シャットダウン(経済活動の停止)を真剣に検討すべきだ」と述べたと伝わった。
 
朝方発表された週間の米新規失業保険申請件数は131.4万件と前週から減り、市場予想(138.8万件)を下回った。発表直後は好感されたが、市場では「高水準を続けており、減少ペースが鈍ってきた」と警戒する声も聞かれた。
 
来週に本格化する米主要企業の決算発表シーズンを前に、持ち高調整の売りが出たとの声も聞かれた。ダウ平均は午前に543ドル下落する場面があった。
 
セクター別では、エネルギー、自動車・自動車部品が大きく売られた一方、食・生活必需品小売、小売りが買われた。
 
個別では景気敏感株の下げが目立った。旅客需要の低迷を嫌気して空運株が軒並み売られた。航空機受注も低迷するとの見方から、航空機・機械のレイセオン・テクノロジーズと航空機のボーイングが大幅安。金融のゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェース、石油のシェブロンの下げも目立った。
朝方発表の2020年3~5月期決算で最終赤字に転落したドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが8%安となり、ダウ平均の重荷になった。
半面、コロナ感染の拡大が業績悪化につながりにくいハイテク株への買いは途切れなかった。
 
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比55.25ポイント(0.5%)高の1万0547.75と連日で過去最高値を更新した。
 
スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトが上場来高値を更新した。自宅でサービスを利用する「巣籠もり消費」の恩恵を受けるネット通販のアマゾン・ドット・コム、動画配信のネットフリックス、半導体のエヌビディアも上場来高値を付けた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,706.09-361.19
S&P500種
3,152.05-17.89
ナスダック
10,547.750+55.250
NY金(ドル/トロイオンス)
1,803.80-16.80
NY原油(ドル/バレル)
39.63+0.01
円・ドル
107.18 – 107.19-0.06

 


【シカゴ日本株先物概況】

9日の日経平均先物は反落した。9月物は前日比110円安の2万2385円で引け、9日の大取終値を95円下回った。新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感から米株に売りが先行し、日経平均先物にも売りが波及した。売り一巡後は米ハイテク株の上昇につれ下げ幅を縮めた。この日の9月物安値は2万2265円、高値は2万2665円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22385 ( -95 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22420 ( -60 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6049.62(-106.54)
9日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日の終値に比べ106.54ポイント(1.7%)安の6049.62で引けた。
FT100種総合株価指数は前日比106.54ポイント(1.73%)安の6049.62で終了。指数構成銘柄の約8割が値下がりした。この日のFT指数は序盤で売られたものの、一巡後は6100台前半でこう着状態が続いた。しかし、終盤になると再び売りが加速し、一時2週間ぶり安値の6040.26まで水準を切り下げた。
 
米国などで新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世界景気の先行き不安から売りが優勢だった。
原油安を背景にBPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油株が売られた。外国為替市場でポンド高が進み、ポンド換算時の海外収益が押し下げられるとの懸念からブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)などグローバル企業も軟調だった。
 
9日に2020年1~6月期の業績動向を発表した航空エンジンのロールス・ロイスは11%安に沈んだ。新型コロナウイルスの影響で1~6月期の資金流出額が30億ポンド(約4千億円)に達したと発表したのが嫌気された。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12489.46(-5.35)
9日のドイツ株式指数(DAX)は3日続落した。終値は前日と比べて5.35ポイント(0.04%)安の1万2489.46だった。
5月の貿易統計が発表され、輸出と輸入がともに4月分から大幅に増加。記録的な落ち込みからの回復を好感した買いは入った。一方で、米国や新興国で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世界経済の正常化が遅れるとの懸念から売りが出た。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4921.01(-60.12)

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