16日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比135ドル39セント(0.5%)安の2万6734ドル71セントで終えた。
米雇用の回復鈍化を示唆する経済指標を手掛かりとした売りが優勢だった。米中対立が激化するとの懸念も投資家心理を冷やした。
米労働省が朝方発表した新規失業保険申請件数は130万件だった。市場予想(125万件)よりも多かったのに加え、減少ペースが鈍化した。
米国では新型コロナウイルスの新規感染者数が6万人を超える過去最多の水準で推移している。感染が深刻な西部や南部の州は経済活動の再開を見直し、行動規制を強めている。雇用回復の鈍化で米経済の改善も遅れる懸念が広がった。
16日の中国株式相場が大幅に下落したことも市場心理を冷やした。6月の同国の小売売上高が市場予想に反して減少し、景気の戻りが鈍いとの見方を誘った。トランプ米政権が8月から中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の締め出しを強化することが明らかになった。16日にはバー司法長官が米ハイテク大手経営者の中国共産党への姿勢が前向きと批判が伝わった。米中関係が悪化するとの懸念も相場の重荷だった。
ダウ平均は下げ幅を一時、280ドルまで広げた。もっとも、新型コロナのワクチン開発が進展するとの期待が投資家心理を支え、押し目買いも入った。
アナリストが投資判断を引き下げた航空機のボーイングが大幅安だった。新型コロナの影響が相対的に小さいとして足元まで上昇が続いていたソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルには売りが出た。一方、日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は上昇した。16日の決算説明会で来週から新型コロナワクチンの臨床試験を始めることを発表。同時に米国立衛生研究所(NIH)と9月に大規模な治験を開始することを協議していることも明らかにした。
セクター別では、公益事業や保険が上昇した一方、消費者サービス、ソフトウェアサービスが下落した。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落し、同76.66ポイント(0.7%)安の1万0473.83で終えた。クアルコムやエヌビディアなど半導体株の一角で下げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,734.71-135.39
S&P500種
3,215.57-10.99
ナスダック
10,473.829-76.663
NY金(ドル/トロイオンス)
1,800.30-13.50
NY原油(ドル/バレル)
40.72-0.03
円・ドル
107.24 – 107.26+0.29
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は反落した。
9月物は前日比155円安の2万2735円で引け、16日の大取終値を25円下回った。低調な米雇用指標や米中関係の悪化への警戒感を手掛かりに日経平均先物は米株とともに売られた。
新型コロナウイルスの感染拡大による景気再開の遅れも懸念された。
この日の9月物安値は2万2650円、高値は2万2935円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22735 ( -25 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22765 ( +5 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6250.69(-41.96)
16日のFTSE100種総合株価指数は5日ぶりに反落した。前日の終値に比べ41.96ポイント(0.7%)安の6250.69で引けた。
中国の6月の小売売上高が市場予想に反してマイナスとなり、世界経済の回復期待がやや後退。英国や米国の雇用情勢にも懸念が広がり、株価指数は終日マイナス圏で推移した。
堅調だった中国株の急落が投資家心理を冷やし、欧州市場でもいったん利益を確定する売りが出た。
英政府統計局が16日に発表した3~5月期の雇用統計では、失業率は2~4月期から横ばいにとどまった一方、ボーナスを含む賃金は6年ぶりに前年同期比で下落した。英国景気の先行き懸念を和らげる材料にはならず、雇用統計への反応は乏しかった。指数構成銘柄全体の約6割が下落した。
個別銘柄では、高級衣料バーバリーが2.4%安と連日の軟調。製薬大手アストラゼネカは1.7%安とさえず、金融大手バークレイズも1.4%安と下げが目立った。
半面、広告大手WPPが2.3%高でしっかり。通信大手BTも1.5%高と上昇した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12874.97(-56.01)
16日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて56.01ポイント(0.4%)安の1万2874.97だった。米国などで新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世界景気の低迷が長期化するとの懸念から売りが出た。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5085.28(-23.70)
