22日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸した。前日比165ドル44セント高の2万7005ドル84セントで終えた。2万7000ドル台に乗せるのは6月9日以来、1カ月半ぶり。
米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品のビオンテックは朝方、開発中の新型コロナのワクチンについて、規制当局の承認を前提に最大6億回分を米政府に供給することで合意した。実用化への期待が高まった。ただ、米中対立への懸念が重荷となり、相場は伸び悩む場面もあった。
ファイザーは22日、独製薬ベンチャーと開発中のワクチンの安全性と有効性が確認された場合、と発表した。
米政府はワクチンを無料投与する計画で、経済の正常化を後押しするとの見方が強まった。建機のキャタピラーや化学のダウなど業績が景気に左右されやすい銘柄への買いにつながった。外食のマクドナルドやホームセンターのホーム・デポなど消費関連も高い。
午後に与党・共和党の議員が7月末で期限が切れる失業給付の増額分を減らすが、期間を年末まで延ばす方針で検討していると伝わった。経済対策が景気を下支えするとの期待につながり、ダウ平均は取引終了にかけて上げ幅を広げた。
取引終了後に決算発表を控えていたソフトウエアのマイクロソフトには、業績期待から先回りの買いが入った。
ダウ平均は伸び悩む場面もあった。米国務省報道官は22日、ヒューストン市にある中国総領事館の閉鎖を指示したと発表した。ロイター通信は同日、対抗措置として中国も武漢市にある米総領事館の閉鎖命令を検討していると伝えた。米中関係が一段と悪化するとの懸念が強まった。米国のコロナ感染者数の高止まりも市場心理の重荷となった。
セクター別では、耐久消費財・アパレルや消費サービスが上昇した一方で、エネルギー銀行が下落した。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比25.76ポイント高の1万0706.13で終えた。半導体の一角やスマートフォンのアップルが上昇した。一方、通販のアマゾン・ドット・コムやSNS(交流サイト)のフェイスブックは売られ、指数の上値を抑えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,005.84+165.44
S&P500種
3,276.02+18.72
ナスダック
10,706.127+25.763
NY金(ドル/トロイオンス)
1,865.10+21.20
NY原油(ドル/バレル)
41.95+0.05
円・ドル
107.10 – 107.12-0.04
【シカゴ日本株先物概況】
22日のシカゴ日経平均先物は小幅反発した。9月物は前日比35円高の2万2755円で引け、22日の大取終値を5円上回った。
コロナワクチン開発や経済支援策への期待から米株が上昇し、日経平均先物にも買いが波及した。23~24日は日本市場が休場とあって買い控えもみられ、上げ幅は限られた。
この日の9月物高値は2万2830円、安値は2万2625円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22755 ( +5 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22785 ( +35 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
22日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ62.63ポイント(1.0%)安の6207.10で引けた。
米政府は在ヒューストン総領事館の閉鎖を中国に命じ、中国は報復を明言した。このところ両国は香港問題を背景に関係が険悪化していた。ただ、トランプ米大統領は再選を目指す大統領選が数カ月後に控えており、中国に対して極端に攻撃的にはならないかもしれない」と指摘した。米中対立が激化するとの懸念から売りが出た。
個別銘柄では、英投資会社メルローズ・インダストリーズがさえない業績見通しに14.2%安。投資会社のメルローズ・インダストリーズも下げた。同社が22日、2020年1~6月期の売上高は前年同期から27%減ったと発表したのが嫌気された。外食・ホテル大手ウィットブレッドと英高級衣料バーバリーは各4.1%安だった。
一方、英ホームセンター大手キングフィッシャーは14.6%高、メキシコ産金大手フレスニロは9.6%高、アイルランド段ボール大手スマーフィット・カッパは2.8%高、同国の複合企業DCCは2.5%高と好調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
22日のドイツ株式指数(DAX)は4日ぶりに反落した。終値は前日と比べて67.58ポイント(0.5%)安の1万3104.25だった。EU復興基金案での合意を受け欧州景気の回復期待が高まり、きのうは5か月ぶりの高値圏またで上昇した。米中対立が激化することへの懸念も重荷だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)5,037.12 -67.16
