8日のNYダウ工業株30種平均は6日続伸し、前週末比461ドル46セント高の2万7572ドル44セントと2月24日以来の高値で終えた。
新型コロナウイルス危機で急激に悪化した景気の回復への期待から、景気敏感株を中心に幅広い銘柄に買いが優勢となった。ダウ平均は終盤にかけて上げ幅を拡大し、昨年9月中旬以来の長期連騰となった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、110.66ポイント高の9924.75と2月19日以来3カ月半ぶりに過去最高値を更新した。S&P500種株価指数は38.46ポイント(1.20%)高の3232.39で終えた。昨年末終値(3230.78)をわずかに上回り、年初来でプラスに浮上した。
前週末5日に発表された5月の米雇用統計が予想に反して好内容だったことが、引き続き相場を支援。経済の中心地であるニューヨーク市がこの日、新型コロナで停止していた経済活動再開の第1段階に入ったことも、投資家の買い意欲につながった。
また、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が6日、6月末が期限となっていた大幅減産の7月末までの延長を決めた。原油価格下支えへの期待が高まり、株価の追い風となった。
個別では、経済活動の正常化が業績の追い風になる銘柄に買いが集まった。旅行需要の回復を見込み、空運のユナイテッド航空ホールディングスが15%高、クルーズ船のカーニバルは16%高と急騰した。航空機需要が持ち直すとの見方から、航空機のボーイングは12%上げた。銀行、物流、外食なども買われた。
ナスダック指数の年初来の上昇率は10.6%に達し、3.4%低下のダウ平均や小幅上昇のS&P500種に比べ堅調さが目立つ。新型コロナウイルスのまん延で在宅勤務や自宅でオンラインのサービスを利用する「巣籠もり消費」が急速に拡大し、関連のハイテク株が相場を押し上げた。
8日のナスダック市場では、アナリストが目標株価を引き上げたネット通販のアマゾン・ドット・コムが2%高。中国の販売好調が伝わった電気自動車のテスラは7%上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
27,572.44+461.46
S&P500種
3,232.39+38.46
ナスダック
9,924.745+110.664
NY金(ドル/トロイオンス)
1,705.10+22.10
NY原油(ドル/バレル)
38.18-1.37
円・ドル
108.39 – 108.43-1.09
【シカゴ日本株先物概況】
8日のシカゴ日経平均先物は小幅続伸した。
6月物は前週末比75円高の2万3215円で引け、8日の大取終値を25円上回った。
5月雇用統計の予想外の改善に加えて、全米経済への貢献度が高く、ウイルス感染被害の大きかったニューヨーク市が8日から第1段階の活動を再開したため、景気回復期待が強まり買い先行で寄り付いた。ハイテク大型株の上値が重くナスダックは一時下落する場面もあったが、引けにかけて上げ幅を拡大する展開となった。日経平均先物にも買いが及んだ。
ナスダック総合株価指数は過去最高値を更新した。
この日の6月物高値は2万3275円、安値は2万2965円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
23215 ( +25 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
23220 ( +30 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6472.59(-11.71)
8日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前週末の終値に比べ11.71ポイント安の6472.59で引けた。前週末に3カ月ぶりの高値水準を回復したため、目先の利益を確定する売りが出た。安寄り後に下げ幅を削る展開となった。午前10時すぎには切り返し、3月6日以来3カ月ぶり高値となる6511.84を付けた。その後はもみ合いに転じ、終盤に再び値を消した。
英製薬大手のアストラゼネカは2.7%下げた。米ブルームバーグ通信が7日、関係者の話として、アストラゼネカが米製薬大手ギリアド・サイエンシズに対して経営統合の可能性を打診したと報じた。「新型コロナウイルスワクチンの開発を急ぐ局面で大規模な合併を目指すのは合理的でない」との見方から売りが出たようだ。
個別銘柄では、英オンライン食品販売オカド・グループが6.6%安、英投資会社メルローズ・インダストリーズは5.7%安、英資産運用会社インターメディエイト・キャピタル・グループは4.9%安だった。
一方、英航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは11.9%の大幅高。旅行大手カーニバルは9.9%高。英通信大手BTと住宅大手バラット・デベロップメンツはそれぞれ5.3%高と好調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12819.59(-28.09)
8日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前週末と比べて28.09ポイント(0.2%)安の12819.59だった。ドイツ株は売り優勢。先週末5日に3%超高となり、反動売りが出ているようだ。また4月の鉱工業生産が前月比17.9%減と市場予想(同16.7%減)を上回る悪化となり、相場の重しとなっている。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5175.52(-22.27)
