NYダウ続伸455ドル高 米中対立の懸念和らぐ

8日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比455ドル43セント(1.9%)高の2万4331ドル32セントとほぼこの日の高値で終えた。
 
米労働省が朝方発表した4月の雇用統計(季節調整済み)によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、失業率は14.7%と前月の4.4%から急上昇し、戦後最悪となった。景気動向を反映する非農業部門の就業者数は2050万人減り、1939年の集計開始以来で最大の落ち込みとなった。
ただ、悪化の程度が市場予想を下回ったほか、「(数字は)危機のピーク時のもの」(米メディア)で、経済活動が再開されれば一時帰休の労働者がすぐに復職するとの見方もあり、市場では売り材料視されなかった。
市場では「経済活動が本格的に再開すれば、雇用者数は急激に回復する」との見方も多い。
 
一方、ムニューシン米財務長官とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は7日夜、中国の劉副首相と電話で会談した。新型コロナのまん延という緊急事態の中でも、米中貿易交渉の「第1段階の合意」を履行することを確認した。新型コロナの発生や感染拡大の責任を巡り、米政権は中国への経済制裁をちらつかせていた。
緊張緩和への期待が高まった。エネルギー株や資本財株がけん引し、ダウは一時474ドル高となった。
 
米国の多くの州で経済活動の再開が始まり、景気に楽観論が広がっている。経済規模の大きいカリフォルニア州では8日から衣料品店など一部の小売店の営業を再開した。ミシガン州も11日以降製造業を再開させる。
 
建機のキャタピラーや化学のダウなど中国関連銘柄が買われた。空運など旅行・レジャー関連銘柄も総じて高い。原油先物相場の上昇を受け、エクソンモービルなど石油株も上げた。
 
セクター別では自動車・自動車部品が大幅上昇。医薬品・バイオテク、ソフトウェア・サービスは小幅な上昇にとどまった。
 
ナスダック総合株価指数は5日続伸した。前日比141.66ポイント(1.6%)高の9121.32で終えた。2月下旬以来の高値。米国の一部店舗の営業再開が伝わったスマートフォンのアップルが買われた。マイクロン・テクノロジーなど半導体株も堅調だった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,331.32+455.43
S&P500種
2,929.80+48.618日
ナスダック
9,121.321+141.659
NY金(ドル/トロイオンス)
1,713.90-11.90
NY原油(ドル/バレル)
24.63+1.08
円・ドル
106.71 – 106.73+0.36
 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
6月物は前日比435円高の2万0210円で引けた。8日の大取終値を70円上回った。
米中が声明を発表し、ライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官、中国の劉鶴副首相がウイルスパンデミック以降初めて貿易協議を開催したことを明らかにすると米中関係の悪化懸念が後退米株とともに買われた。
8日発表の4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比2050万人減少し過去最大の下げ幅を示したが、市場予想の範囲内との見方から反応は限られた。
 
この日の6月物高値は2万0215円、安値は1万9770円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
20210 ( +70 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20250 ( +110 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
アーリーメイバンクホリデーの祝日で休場

■ドイツ・フランクフルト株価指数
8日のドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて145.21ポイント(1.4%)高の10904.48だった。
新型コロナウイルス感染の責任問題を巡る米中対立への懸念が和らぎ、リスク資産である株式には買いが優勢になった。
欧米では経済活動の再開の動きが広がり、景気悪化に歯止めがかかるとの期待が高まっている。鉱業や建設セクターの上昇が目立っている。ただし4月の米雇用統計の発表を控え、次第に様子見姿勢が強まるとみている。
 

■フランス・パリ株価指数
4,549.64   +48.20

 

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