16日のNYダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比33ドル33セント高の2万3537ドル68セントで終えた。
大型ハイテク株への物色が相場の支えとなり、取引終了にかけてこの日の高値を付けた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で米景気の急激な落ち込みを示す経済指標の発表が相次いでおり、売りが膨らむ場面もあった。
トランプ米大統領は16日夕に、新型コロナウイルス感染拡大防止のために州政府が制限している経済活動の再開に向けたガイドラインを発表する見通し。トランプ氏は前日、米国内での新型コロナの新規感染が「全国で見ればピークを越えた」との見方を示していた。終盤にハイテク大手やヘルスケア、消費財株を中心に買いが入り、ダウ平均をプラス圏に押し上げた。
新型コロナのまん延を受けた「巣ごもり消費」が業績拡大につながるとの見方から動画配信のネットフリックスやネット通販のアマゾン・ドット・コムなどが連日で上場来高値を更新した。在宅勤務の広がりでビジネス対話アプリ「チームズ」の利用が増えているマイクロソフトも高かった。半導体のインテルやスマートフォンのアップルも買われた。
一方ダウは、ダウ平均は300ドル近く下げる場面があった。米経済指標の悪化が重しとなり、終盤まではおおむねマイナス圏で推移していた。米労働省が発表した最新週の新規失業保険申請は524万5000件と、前週の661万5000件(改定値)を下回ったものの、依然記録的な高水準となった。
また、4月のフィラデルフィア連銀の製造業景況指数はマイナス56.6と1980年以来の低水準となった。3月の住宅着工件数も前月比22%減と市場予想以上に減った。小売売上高などが急減した15日に続いてこの日も指標の大幅な悪化が続いたことが投資家心理を冷やした。
感染者数の多いニューヨーク州などが16日に必要不可欠な業種以外の営業停止を当初予定の4月末から5月15日まで延長した。大都市などでの経済活動の再開が緩やかかつ、段階的となる可能性が高いとの見方が広がったことは投資家心理に重荷となった。
セクター別では、医療保険や製薬株が買われたヘルスケアセクターが上げを主導。IT株も、台湾のファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手TSMC(台湾積体電路製造)の好決算が好感され、買いを集めた。
一方、景気懸念や金利低下からJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株の下げが目立った。航空機のボーイングが売られたほか、原油先物相場の下げを受けてシェブロンやエクソンモービルなど石油株も下げた。
ナスダック総合株価指数も反発し、同139.19ポイント(1.7%)高の8532.36で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,537.68+33.33
S&P500種
2,799.55+16.19
ナスダック
8,532.363+139.187
NY金(ドル/トロイオンス)
1,731.70-8.50
NY原油(ドル/バレル)
19.97+0.10
円・ドル
108.04 – 108.05+0.2
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は続落した。
6月物は前日比100円安の1万9205円で引け、16日の大取終値を35円下回った。
米経済指標の悪化を受けた売りが優勢だった。
朝方発表の週間の米失業保険申請件数は524万5千件と高水準だったほか、住宅や製造業の景気指数も悪化し、景気先行きへの警戒感が広がった。その後は経済活動の再開期待などを背景に日経平均先物は米株とともに買われ下げ幅を縮めた。
この日の6月物安値は1万8990円、高値は1万9365円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
19205 ( -35 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
19310 ( +70 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5628.43(+30.78)
16日のFTSE100種総合株価指数はもみ合いの中を3日ぶりに反発した。前日の終値に比べ30.78ポイント高い5628.43で引けた。
FT指数は午前、午後ともに方向感が定まらず、前日終値比でプラス圏、マイナス圏を行き来した。しかし、引けにかけて次第に買いが優勢となり、この日の高値圏で取引を終えた。
個別銘柄では、ロシア鉄鋼大手エブラズが7.7%高。住宅大手バラット・デベロップメンツは6.3%高、英中古車販売サイトのオートトレーダー・グループは5.6%高、グラクソ・スミスクラインやアストラゼネカといった業績が景気動向に左右されにくい医薬品株の上昇が目立った。
一方、英金融大手M&Gは9.7%安、英教育・メディア大手ピアソンは5.3%安、軟調な原油相場を背景に、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルやBPなど石油株は下落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10301.54(+21.78)
16日のドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日と比べて21.78ポイント(0.2%)高い10301.54だった。
ドイツのメルケル首相は15日、新型コロナウイルス対策で導入した規制を一部緩和すると発表した。米経済指標の悪化によるリスク回避姿勢の強まりから、きのう大幅安となった反動で買いが入っている。全面高で小売と銀行セクターを中心に上昇している。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4350.16(-3.56)
