NYダウ1167ドル高、政府財政支援期待

10日のNYダウ工業株30種平均は前日比1167ドル14セント高の2万5018ドル16セントは4営業日ぶりに反発で終えた。
 
9日のNYダウは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や原油価格の急落を嫌気し、2013ドル安で終了。1日の下げ幅としては過去最大となった。
市場の動揺が続く中、トランプ大統領は同日、新型ウイルスの感染拡大で打撃を受けた業種を対象に、給与税減税や所得補償など「大規模な」景気対策の実現を与党共和党に働き掛けると表明した。これを好感し、この日のダウは寄り付き直後から買われ、一時945ドル高まで上昇した。
しかし、景気対策の具体的な中身が決まっていないとの一部報道や野党民主党の反対の声などを受けて失望売りが膨らみ、ダウは午前中にいったんマイナス圏に沈んだ。
 
トランプ大統領は9日夕に給与税(社会保障税)の引き下げを表明していた。10日午後には米CNBCが「トランプ氏は与党議員との協議で年内の給与税ゼロを提案したようだ」と報じた。報道が市場心理を明るくし、ダウ平均は取引終了にかけて一段高となった。
 
米政府は新型コロナの感染拡大で業績に悪影響が及ぶクルーズ船や航空、ホテルなどの旅行・レジャー業界への支援策もまとめると伝わった。クルーズ船のカーニバルやアメリカン航空グループなど関連株が大きく上昇した。前日に急落した原油先物相場が反発し、石油株に売り方の買い戻しが入った。
 
米債券市場では安全資産とされる米国債が売られ、長期金利が大幅に上昇した。長期金利が過去最低まで低下する中、利ざや悪化懸念から売られていた銀行株が軒並み急反発した。JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカは8%高で引けた。
 
スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなど、ハイテク株にも幅広く値ごろ感からの買いが入った。
 
もっとも、投資家の先安懸念が大きく和らいだとはいえない。投資家心理を測る指標である米株の変動性指数(VIX)は10日も47前後で終え、不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回った。
 
市場関係者は「新型コロナ対策で金融政策に限界が見える中、財政政策を打ち出す動きが出てきたことをマーケットは評価している」と話した。
 
セクター別では銀行が大きく上昇、公益事業や食品・生活必需品小売りの上げは小幅にとどまった。
 
ナスダック総合株価指数は前日比393.577ポイント高の8344.253ドルで終えた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,018.16+1,167.14
S&P500種
2,882.23+135.67
ナスダック
8,344.253+393.577
NY金(ドル/トロイオンス)
1,660.30-15.40
NY原油(ドル/バレル)
34.52+0.16
円・ドル
105.08 – 105.09+1.24
 


【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は急反発した。
新型コロナの拡大を背景に急落した前日の下げ幅を取り戻した。前日は米株、原油とともに記録的な下げを記録した。10日のNYダウは、大統領が共和党議員に対して年内の給与税の免除を打診したことや、米国内での新型コロナウイルス検査の自己負担金の免除や感染者の治療に関する保険適用範囲の拡大などが明らかになると投資家心理が大きく改善し、引けにかけて大きく上昇する展開となった。
この日のシカゴ日経平均先物は投資家心理が改善し、買い戻しが進んだ

3月物は前日比1100円高の1万9975円で引けた。この日の高値は2万0190円、安値は1万8595円だった。
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
19975 ( +165 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
19980 ( +170 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5960.23(-5.54)
10日のFTSE100種総合株価指数は朝高後値を消し、小幅ながら4日続落した。前日の終値に比べ5.54ポイント安の5960.23で引けた。構成銘柄の約半数以上は下落した。
 
午前は大幅高で推移した。新型コロナウイルスによる世界景気への悪影響を抑えるため、主要国の政府や中銀が景気刺激策に乗り出すとの期待が高まった。しかし午後に入り米国株が乱高下すると英国株も一転して不安定な展開になり、景気の先行き懸念が払拭できないまま下げて引けた。たばこと医薬品株の下落が株価指数を押し下げた。
 
個別銘柄では、公益企業銘柄の下げも目立った。エネルギー大手のSSEと電力・ガス供給のナショナル・グリッド、ガス供給・販売のセントリカはそれぞれ4%超下げた。たばこのインペリアル・ブランズはアナリストによる株価目標引き下げなどが売り材料となった。
 
半面、原油の大幅反発を背景に石油株は上昇した。鉱業と銀行株も買われた。ロシアの鉄鋼大手エブラズは6%超上げた。情報・出版のインフォーマも大幅高となった。2019年通期の業績が良好だったことが好感された。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10475.49(-149.53)
10日のドイツ株式指数(DAX)は4日続落した。終値は前日と比べて149.53ポイント安の10475.49だった。
主要国が景気刺激策を実施すると期待され各国ともそろって大幅高で始まったが、午後には米国株の乱高下に伴い欧州各国の相場も下落に転じた。
 
個別では、電力のエーオンと医療機器のフレゼニウスの下げが目立った。ドイツポストは中国の取扱量が回復し始めたことが好感され6%高。フリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)の目標引き上げも追い風となった。IT(情報技術)のSAPもアナリストが投資判断を引き上げたことで上昇した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4636.61(-71.30)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%超下落した。
 

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