11日のNYダウ工業株30種平均は前日比1464ドル94セント安の2万3553ドル22セントと大幅に反落で終えた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による景気悪化への懸念や米政府による景気対策の先行き不透明感が嫌気された。前日に政策期待で急反発しただけに反動の売りが出た。
ダウ平均は2月12日に付けた過去最高値(2万9551ドル42セント)からの下落率が20.3%となり「弱気相場」の目安となる20%を超えた。2009年3月9日に付けた底値から反転して、その後は一度も弱気相場に陥っていなかった。
ダウ平均は、午前中から1000ドル超下落し、ほぼ全業種が売られる展開となった。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、新型コロナについて「パンデミック(世界的な大流行)に相当する」と表明した。感染は約120カ国・地域に広がり、感染者数は12万人を超えた。米国の感染者数も1000人を超え、旅行や出張を自粛する動きが広がっている。年前半の米景気の落ち込みが避けられないとの見方が強まった。
米政権は10日夕に給与税の免除などを含む経済対策案を発表したが、トランプ米大統領は発表に出席しなかった。給与税は社会保障の大きな財源で、米議会で審議が難航する可能性が高いとの見方が多い。減税以外は具体的な中身に乏しいとの批判もあり、市場では「米国の経済対策が遅れる」との声が聞かれた。
航空機のボーイングが18%安となり、1銘柄でダウ平均を284ドルほど押し下げた。11日に発表した2月の商用機の営業実績は新規受注からキャンセルを差し引いた純受注がマイナスとなった。新型コロナの感染拡大で旅行需要の急減が響いており、一時的に新規雇用を停止すると伝わったのも重荷だった。
アナリストが目標株価を引き下げたスマートフォンのアップルは3%強、ソフトウエアのマイクロソフトは4%強下げた。ダウ平均を構成する全30銘柄が下落した。
投資家心理を測る指標である米株の変動性指数(VIX)は、前日比約14%高の53台で終えた。20を超えると不安心理が高まった状態とされ、荒い値動きが続いた。
セクター別では消費者サービスでの下落が特に目立った。電気通信サービスの下げは最小にとどまった。
ナスダック総合株価指数は前日比392.202ポイント(4.7%)安の7952.051で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,553.22-1,464.94
S&P500種
2,741.38-140.85
ナスダック
7,952.051-392.202
NY金(ドル/トロイオンス)
1,642.30-18.00
NY原油(ドル/バレル)
33.32+0.34
円・ドル
104.41 – 104.42-0.60
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は反落した。
3月物は前日比810円安の1万9165円で引け、11日の大取終値を205円下回った。
新型コロナウイルスによる世界景気の先行き不安が広がり、米株とともに売られた。世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナを「パンデミック(世界的な大流行)」とみなし、投資家心理を冷やした。
米政府が10日発表した新型コロナの経済対策の行方も警戒された。
この日の6月物安値は1万8930円、高値は1万9995円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
19165 ( -205 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
19160 ( -210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5876.52(-83.71)
11日のFTSE100種総合株価指数は5日続落した。前日の終値に比べ83.71ポイント安の5876.52と、2016年2月下旬以来、約4年ぶりの安値(終値ベース)で引けた。構成銘柄の8割が下落した。
新型コロナウイルスの感染拡大に懸念が強まった。英イングランド銀行(中央銀行)は0.5%の緊急利下げと中小企業向け低利融資制度の創設を発表。英政府も300億ポンド規模の景気対策を打ち出した。英国株は昼頃まではプラス圏で推移したが、午後に入り、米株安に連動して売りが加速した。
新型コロナの感染拡大で業績が圧迫される銘柄に売りが集まった。
個別銘柄では、産業用ソフトウエアのアヴィバグループは9%超安となった。格安航空会社(LCC)のイージージェットや飲料のコカ・コーラ・ヘレニック・ボトリングも大幅に下落した。クルーズのカーニバルなど旅行関連株の売りも目立った。原油安を受けて石油株も大幅に下げた。
半面、中銀の金融緩和を背景に、金融大手HSBCホールディングス(1.5%高)、バークレイズ(0.9%高)など銀行株の一角が締まった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10438.68(-36.81)
11日のドイツ株式指数(DAX)は5日続落した。終値は前日と比べて36.81ポイント安の10438.68だった。
買いが優勢で推移した後、午後に米株安が波及し売りに転じた。
アディダスが急落し、9%安で引けた。新型コロナウイルスの影響で中国の店舗の大半が一時休業に追い込まれ、中国事業の売上高が落ち込むとの見通しを発表した。電力株は上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4610.25(-26.36)
